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「競技パフォーマンスを高めるウォーミングアップ①」 大石 博暁

 ストレングス&コンディショニングコラム

2011/08/23

ウォーミングアップ



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ウォーミングアップには単なる準備運動ではなく、トレーニングの要素も含まれています。全日本男子バレーボールチームでは、試合で最大限の力を発揮させるためにおよそ45分間かけてじっくりと行います。一般に準備運動は軽視されがちですが、身体を動かす前には必ず行いましょう。

目的は大きく分けて二つあります。一つは「競技力の向上」。競技スポーツだけでなく、レクリエーションスポーツでもウォーミングアップは必要です。ウォーミングアップを行うことで、日常生活の運動レベルから競技ができるレベルまで心身の状態を引き上げます。また、もう一つは「傷害予防」。ウォーミングアップを行うことでケガの予防、再発の防止にもつながります。
ウォーミングアップの一環として、よくサッカーやバスケットボールを行っているのを見かけます。ただ、身体を動かしていない状態でいきなり激しい運動を行うことは望ましくありません。対戦型のスポーツであるため、つい気持ちが入りすぎてしまうこともあるでしょう。ウォーミングアップの基本は徐々に身体の状態を上げていくことですので、十分に注意した上で取り組みましょう。

【ウォーミングアップの目的】
①筋温を上げる  最も効率の良い運動をするためには、体温を39度くらいに保つことが理想と言われています。また、筋温が1度上昇することで代謝機能が13%アップするので、ウォーミングアップの段階でしっかりと筋肉の深部まで温めましょう。特に身体の大きな選手は深部まで温めるのに時間がかかるため、ゆっくりと意識して行うことが大切です。
②心拍数、呼吸数を上げる  競技を始めてすぐに力を発揮するためには、ウォーミングアップの段階で心拍数を上げることが大切です。よって、競技によって数値は異なりますが、最高数値まで一度心拍数を上げることを心掛けましょう。例えば、私が指導しているバレーボールでは、ラリーが長くなることによって試合中に約170まで心拍数が上がるので、心拍数170を目安にウォーミングアップを行っています。
③神経系を活性させる  ウォーミングアップだからといって手を抜くのではなく、神経系を活性させるために集中力を高めて取り組みましょう。人間は脳から各部分に指令を出して身体が動く仕組みになっているので、脳を働かせることが神経系の活性につながります。
④動的柔軟性を高める  以前は静的ストレッチ(その場で関節を動かし目的の筋肉をゆっくり伸ばす運動)が主でしたが、競技直前に行うと素早い反応ができず、競技パフォーマンスが低下する傾向が見られます。よって、動的ストレッチ(動きながら伸張反射を繰り返す運動)を行い動きの中で柔軟性を高め、スムーズに競技へ移行できるように心掛けましょう。
⑤コーディネーション能力(協調性)を高める  コーディネーション能力とはいわゆる運動神経のことで、状況を頭の中で判断し、身体を素早く思い通りに動かす能力のことを言います。特に対戦型のスポーツでは必ず相手の動きに対しての反応が必要になるので、運動には欠かせない重要な分野と言えます。
⑥ムーブメントスキル(動作技術)を発達させる  正しい動きをウォーミングアップの中で叩き込むために、実際の競技で使う動作を取り入れます。例えば、バレーボールならジャンプや着地の動作。正しい姿勢で行わないと悪い癖がついてしまうので注意しましょう。  6つの目的を意識した上で、ウォーミングアップに取り組みましょう。次回はウォーミングアップが競技パフォーマンスに与える効果、そして動的ストレッチについて紹介していきます。

 






ストレングスコンディショニングコラムは元男子バレーボール日本代表フィジカルコーチ 大石 博暁を始めとした、
飛翔会グループの経験豊富なスタッフが、
トレーニングについて分りやすく解説します。

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