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再生医療(PRP/ APS)

PRP(多血小板血漿)療法

再生医療 PRP療法とは人が本来持っている『自然治癒力』を活かした治療法です。

指や手を切ってしまった時、時間の経過とともに自然と傷が塞がり、カサブタが出来てやがて元通りに治ったという経験があると思います。実は、血液中の傷を治す働きを持つ「血小板」という成分が重要な役割を果たしているのです。
傷口をふさいで止血する作用だけでなく、傷んだ組織を修復する働きもあります。この作用を利用したのがPRP療法です。

患者さまご自身の血液を採血し、血小板を高濃度に凝縮し活性化させたものが、PRP(Platelet Rich Plasma)です。このPRPに含まれる成長因子 (組織修復に役立つ)の力を利用して、人が本来持っている治癒能力や、組織修復能力・再生能力を最大限に引き出す治療です。

PRP療法によるスポーツ外傷・障害の治療

組織自体がもつ再生能力を超えて、組織への繰り返しの力学的な負荷が積み重なると組織が「変性」してしまい、なかなか治りにくい環境になっていまうことがあります。PRPを注射する事で、これらの傷んだ組織の細胞を刺激し自己治癒力をもう一度活性化する事により怪我を治す環境に戻し、機能を改善することを目的としています。

再生医療スポーツ テニス肘 膝蓋腱炎 足底筋膜炎 野球肘 アキレス腱炎
◆慢性的な筋・腱付着部の炎症に対する新しい治療法

スポ―ツなど、繰り返しの負荷により身体のあちこちを痛めることがありますが、それを続けていると、損傷した組織の自己修復が追い付かない場合に、ダメージが回復せず蓄積し、痛みが発生し機能不全になってしまいます。
このような慢性的に傷んだ組織や痛みの部位に、ご自身の血液より作成したPRPを注入して組織の修復を促し、機能を改善することを目的としています。
またスポーツを行っており、捻挫や肉離れ等の症状があり、少しでも早期復帰を望む方にも適応となる場合がございます。

●作用について

以下の研究データによればリハビリをしても改善の見られないジャンパー膝に対して2回のPRP投与と3回の対外衝撃波療法(物療)の効果を比較しており、PRPの方が効果が高かった事が示されています。

(VAS:痛みのスケール 10点満点の評価で10が最も強い痛みで0が傷みなし)      (Ventrano et al. 2013)
(VISA-P:膝の腱症の重症度 100点満点で点数が高いほど良い)
◆スポーツ外傷・障害の方に使用するPRPの特長

多血小板血漿(PRP)といっても調整方法によって得られる成分が異なり、特性が異なるといわれています。当院で用いるPRPはArthrex社製のACPダブルシリンジシステムにより精製される“白血球をほとんど含まないPRP“です。この種のPRPを当院が選択している理由としては以下があげられます

①信頼性の高い先行する臨床研究がある点

権威ある整形外科雑誌にエビデンスレベル 1(科学的根拠としての信頼性が最も高い)の同一または同一種類とされるPRPを用いている研究結果が複数報告されており、安全性・治療効果を確認することができる。
(Creza et.al. 2012)(Smith et al. 2016)
(Sánchez et al)(Sandeep et 2013)
(Vaquerizo et al. 2013)(Cole et al. 2016)(Lin et al 2019)
(Ventrano et al. 2013)(Boesen et al. 2017)

②基礎的な研究からの効果の裏付けがある点

この種のPRPについてはヒトの細胞用いた研究や治療対象とする疾患の動物を用いた研究などから組織再生に有効と考えられている効果が複数確認されている。
(Sundman et.al. 2011)(Mazzocca et.al. 2012)(Sakata et.al. 2015)(Anitua et.al 2007)

Patrick A. Smith et al.(2016). Intra-articular Autologous Conditioned Plasma Injections Provide Safe and Efficacious Treatment for Knee Osteoarthritis An FDA-Sanctioned, Randomized, Double-blind, Placebo-controlled Clinical Trial. The American Journal of Sports Medicine, Vol. 44, No. 4Fabio Cerza et al. (2012). Comparison between hyaluronic acid and platelet-rich plasma, intra-articular infiltration in the treatment of gonarthrosis. Am J Sports Med. 2012 Dec;40(12):2822-7 Sánchez M et al. (2012): A randomized clinical trial evaluating plasma rich in growth factors (PRGF-Endoret) versus hyaluronic acid in the short-term treatment of symptomatic knee osteoarthritis. Arthroscopy. 2012 Aug;28(8):1070-8.Vaquerizo V. et al.(2013): Comparison of intra-articular injections of plasma rich in growth factors (PRGF-Endoret) versus Durolane hyaluronic acid in the treatment of patients with symptomatic osteoarthritis: a randomized controlled trial.Arthroscopy. 2013 Oct;29(10):1635-43. Brian J. Cole et al. (2016): Hyaluronic Acid Versus Platelet-Rich Plasma A Prospective, Double-Blind Randomized Controlled Trial Comparing Clinical Outcomes and Effects on Intraarticular Biology for the Treatment of Knee Osteoarthritis The American Journal of Sports Medicine, Vol. 45, No. 2Kuan-Yu Lin et al. (2019): Intra-articular Injection of Platelet-Rich Plasma Is Superior to Hyaluronic Acid or Saline Solution in the Treatment of Mild to Moderate Knee Osteoarthritis: A Randomized, Double-Blind, Triple-Parallel, Placebo-Controlled Clinical Trial Arthroscopy: The Journal of Arthroscopic and Related Surgery, Vol 35, No 1 (January), 2019: pp 106-117 Anders Ploug Boesen et al.(2017). Effect of High-Volume Injection, Platelet-Rich Plasma, and Sham Treatment in Chronic Midportion Achilles Tendinopathy A Randomized Double-Blinded Prospective Study. The American Journal of Sports Medicine, Vol. 45, No. 9 MarioVetrano et al. (2013). Platelet-Rich Plasma Versus Focused Shock Waves in the Treatment of Jumper’s Knee in Athletes. The American Journal of Sports Medicine, Vol. 41, No. 4 Sakata et al.(2015): Stimulation of the Superficial Zone Protein and Lubrication in the Articular Cartilage by Human Platelet-Rich Plasma The American Journal of Sports Medicine, Vol. 43, No. 6Emily A. Sundman et al. (2012) Growth factor and catabolic cytokine concentrations are influenced by the cellular composition of platelet-rich plasma. Am J Sports Med 2011 39: E. Anitual wt al. (2007): Platelet-released growth factors enhance the secretion of hyaluronic acid and induce hepatocyte growth factor production by synovial fibroblasts from arthritic patients. Rheumatology (Oxford). 2007 Dec;46(12)Augustus D. Mazzocca(2012): The Positive Effects of Different Platelet-Rich Plasma Methods on Human Muscle, Bone, and Tendon Cells, The American Journal of Sports Medicine, Vol. 40, No. 8

変形性膝関節症に対する治療

変形の進行に伴い、軟骨がすり減ったり、半血板が傷んだり、炎症が起きて膝に水がたまったりします。PRPはこうした組織の修復を促したり、関節の炎症を抑制したりする効果が期待できます。当クリニックではひざの痛みでお困りの方に、2種類のPRP療法を提供しています。使用する医療機器や調整方法により、得られる成分が違うため異なる特性となっています。

動画で見る変形性膝関節症PRP治療

院長 寛田司が『関節ライフ』様へ寄稿した再生医療についての記事をご覧いただけます。

◆変形による関節炎に対する炎症を抑え、痛みを緩和

血小板が題しているサイトカイン(炎症を抑える働きを持つ物質)による効果を期待します。 関節内で炎症が続くと、慢性的は痛みを引き起こす原因にもなります。 関節内にPRPを注射する事で炎症を抑え、痛みを取り除くことを目指します。

◆軟骨のすり減りなどによる変形の進行を抑える

血小板から出ている成長因子(※1)が重要な役割を果たします。 軟骨の細胞に成長因子が働きかけることで、軟骨組織を合成したり、軟骨細胞を 増殖したりする効果が期待できます。

 ※1細胞の成長を促進する成長因子

①血小板由来成長因子(PDGF-aa、PDGF-ab、PDGF-bb)
  細胞を増やすための合図を出し、血管や皮膚を作る手助けをします
②形質転換成長因子(TGF-β1、TGF-β)
  細胞の周りの物質を作る手助けをします
③血管内皮成長因子(VEGF)・線維芽細胞増殖因子(FGF)
  血管を作る手助けをします

◆関節の痛みにお困りの方に異なる特性の2種類のPRP療法

使用する医療機器やPRPの調整方法により得られる成分が違うため、異なる特性となっています。

Arthrex ACP® Double-Syringe System

①「白血球をほとんど含まない」従来型のPRP療法:ACP療法

信頼性の高い先行する臨床研究が多数報告されており、また基礎的な研究からの効果の裏付けがある点など、安全性と治療効果が確認されています。特徴として、白血球をほとんど含まないため、投与後の患部の腫れや疼痛が少ない点があげられます。

血液中の良いタンパク質をバランスよく濃縮し、注入することで、関節内の細胞が病的な炎症を引き起こす仕組み(NF-κBシグナル伝達経路)を抑制し、炎症を改善、痛みの緩和、軟骨破壊抑止を行うことが期待されています。
ACP PRP療法は欧州で既に治療法として承認されています。また、欧米では既に複数の機関で客観性の高い臨床試験が行われ、その結果が国際的に権威のある学術雑誌に報告され、有効性の確認が進んでいます。
変形性膝関節症に対するACPの安全性と有効性 Arthrex ACP®Double-Syring System

●効果について

以下の研究データによれば、変形性膝関節症の中等度の患者に対して、1週間おきに3回PRPを投与。膝関節の機能スコア:WOMAC(膝の痛みやこわばり等)が47点から10点(100点満点で0に近いほど正常な膝の状態に近い)に改善がしめされています。

水色のACPと示されている方が、PRP療法を受けている患者のデータであり、灰色の方が生理食塩水(コントロール:効果の比較のために使う治療効果のない偽薬)です。

(参考文献)
Patrick A. Smith et al.(2016). Intra-articular Autologous Conditioned Plasma Injections Provide Safe and Efficacious Treatment for Knee Osteoarthritis An FDA-Sanctioned, Randomized, Double-blind, Placebo-controlled Clinical Trial. The American Journal of Sports Medicine, Vol. 44, No. 4

Zimmer Biomet APSキット

②次世代PRP:APS療法

APS療法とは、専用のAPSキットを用いて患者様の血液より抽出したPRPから更に抗炎症成分などを抽出したものです。この中にはご自身の血液由来の抗炎症物質と成長因子が濃縮されており、PRPの効果に加え、関節内の炎症物質と抗炎症物質の不均衡を整える作用があるのが特徴です。特に変形性膝関節症の新しい治療として注目されはじめています。

ご自身の血液を使用するため安全性も高く、体に負担の少ない治療法です。

PRP療法の安全性について

◆患者さまご自身の血液を利用しているため安全性も高く、入院の必要がなく体への負担が少ない治療法です

寛田クリニックは、再生医療等の安全性の確保等に関する法律に基づき、再生医療等委員会の審査をクリアした施設です。

(第2種)計画番号:PB6200005   受理年月日:2020年7月7日
(第3種)計画番号:PC6190015   受理年月日:2020年3月10日
(特定細胞加工物製造届書)受付番号:27F1909002 受理年月日:2019年10月24日

再生医療等提供計画を厚生労働省へ提出しておりWEBからご確認いただけます。
第二種再生医療等・治療に関する提供計画第三種再生医療等・治療に関する提供計画

PRPを精製するキットの安全性について

ジンマーバイオメット社

臨床使用可能なクラスⅢ医療機器として認証されており、キットの性質上、細菌混入の可能性は極めて低いうえ、人が操作する工程では、クリーンベンチ内における作業を指定しており、細菌感染に細心の注意を払っています。

アースレックス社

アースレックス社製のACPダブルシリンジは2重構造になっており厚生労働省に認可された高度管理医療機器です。

PRP療法のリスクや副作用について

PRP療法の副作用について

ご自身の血液を使用した治療法ですので、拒絶反応やアレルギー、副作用の心配はほとんどなく、安全性の高い治療法だと言われています。

ただし、一般的な注射同様に、針を刺した箇所に出血や感染の可能性がありますが、この危険性はPRP療法に限らず、注射針を指す医療行為全般に共通するリスクになっています。

PRP療法によるリスクについて

①中止(休薬)が必要なお薬があります

普段服用しているお薬によってはPRP療法の効果を低下させる可能性がありますので、最大限に効果を発揮させるため、内服薬を一定期間お休みして頂く可能性がございます。その場合は、医師により判断・ご説明をさせて頂きます

②日常生活の制限について

実施部位により異なりますが、PRP注射当日は車の運転を控え、感染予防の為に入浴・シャワーをお控えください。また2週間は激しい運動など、実施前より活発にしないことが推奨されています
また、個人差はありますが腫れぼったさや違和感がある方もいらっしゃいます。この場合、実施部位を冷やして頂くと症状は数日で改善します

③成分(PRP)が抽出できない可能性

採取した血液の状態によっては、PRPの成分を抽出できない可能性があり、再度採血が必要となる場合も考えられます

④使用機材の汚染や破損

PRP療法に必要な設備は法的基準をクリアしたものを使用しています。専門スタッフが血液や機材を清潔に取り扱う体制を確保していますが、予期せぬ機器の不具合などにより、汚染・破損が発生し、急遽、実施が延期や中止となる場合も考えられます。

治療の流れについて

本治療は下記の流れで ➊~➌まで当日に実施されます。

➊患者さまご自身の血液を15mlあるいは55ml採血
※使用するキットにより採血量が異なります。
なお使用するキットは患者様の状態をみて医師と相談しながら決定します

➋採取した血液を遠心分離機にかけPRPを抽出・作成

➌痛みのある患部に対して、PRPを注射

➊~➌までの所要時間 約60分 (待ち時間含む)

費用について

◆PRP療法は保険適応外で自由診療となっております

1)本治療は全て自費診療であり健康保険を使用することはできません

2)本治療にかかる費用は、注射部位、使用するキットにより変わります
※なお、費用は治療に伴う診査、自家PRP調整の為の採血にかかる費用、自家PRP調整費用注入にかかる費用の総額となります

投与部位 再生医療の種別 医療機器名称 費用(税込) 対象疾患
関節外 第3種 ACPダブルシリンジ 33,000 ・腱付着部炎・腱障害
・筋損傷・関節外靭帯孫
関節内 第2種 ACPダブルシリンジ 33,000 ・変形性膝関節症
・関節炎
関節内 第2種 APSキット 330,000

お問い合わせ

◆当院の連絡先・相談窓口

この治療についての問い合わせやご相談・苦情がある場合には下記へご連絡ください。

【窓口】    医療法人社団 飛翔会 寛田クリニック

【住所】    広島県広島市南区稲荷町3-20 トーレ稲荷町

【電話番号】 082-261-7030  (総務) 082-568-7326

【受付時間】 9時~12時半/15時~18時半(日祝日を除く)※ただし、PRP療法は月~金

寛田クリニック
(かんだクリニック)

広島市南区稲荷町3番20号
トーレ稲荷町2F

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TEL: 082-261-7030
FAX: 082-261-7031

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予約変更・キャンセル

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5Fリハビリテーション

TEL: 082-263-0089

【診療時間】

平日/ 9:00~12:30
15:00~18:15
予約診察はありません
(土曜日は17:00まで)

 内科診療は火曜と木曜のみです
【マイナンバー保険証】

マイナ保険証対応しています

【休診日】

日曜日、祝祭日

【フリーWIFI】

有り

【駐車場】

無料駐車場はありません。
トーレ稲荷町ビル、近辺の有料駐車場
のご利用をお願いいたします。

【整形外科】
午前
午後
【内科】
午前
午後
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寛田クリニックでは、大規模地震等の災害発生時でも従業員ならびにその家族の安全を守ると共に患者様・利用者様へのサービスの提供を維持・継続するために、事業継続計画(BCP)策定し取り組んでいます。

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