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【蔵本達也のドイツ社会人留学リポート】Vol.43 ベルギーでプレーする綱島悠斗選手のコンディショニングサポート
2026/04/23
現在、ベルギー・アントワープでプレーする綱島悠斗選手のコンディショニングサポートを行っています。拠点はドイツ・デュッセルドルフですが、週に1回ベルギーへ出張し、自宅で施術とトレーニングを行う形で関わっています。
このサポートは2025年9月末からスタートしました。ヨーロッパでのシーズンの中でコンディション面に課題を感じていたタイミングでご相談をいただき、そこから継続的にサポートを行っています。
目的は、パフォーマンスの向上と年間を通して試合に出続けるためのコンディション調整です。単なるリラクゼーションではなく、試合で結果を出し続けるための身体づくりをベースにしています。ヨーロッパではコンディションの差がそのまま評価や出場機会に直結するため、「良い状態を作ること」と同時に「それを維持し続けること」が重要になります。
綱島選手との出会いは、大学時代の同級生である友人の紹介でした。「ベルギーで日本人トレーナーを探している」という話から繋がり、サポートがスタートしました。ヨーロッパではチームのメディカル体制は整っている一方で、個人に対して継続的かつ細かいケアを受けられる環境は限られており、外部のトレーナーを必要とするケースも少なくありません。
最初に相談されたのは、「試合の70分くらいで足が攣ってしまい、最後までプレーできない」という問題でした。この問題は現地メディアでも取り上げられており、血液検査でも異常は見つからず、専門家の間でも明確な原因が特定されていない状況でした。フィジカルではなく精神的な要因の可能性も指摘されるなど、様々な見方がされていたのが実情です。しかし実際に身体を評価していく中で見えてきたのは、単一の要因ではなく、全身のバランスの崩れと足部機能の低下でした。アライメント、関節可動域、筋膜の状態、既往歴に加え、立位での重心位置や身体の支持バランスを細かく確認していくことで、局所ではなく全体の問題として捉えることができました。
足部は地面との唯一の接点であり、ここが機能しないと負荷が分散されず、特定の筋肉に過剰なストレスがかかります。その結果として、試合終盤に筋肉が耐えきれず「攣る」という形で現れていました。施術では、筋膜・関節・骨格に加え、内臓へのアプローチも行いながら全身のバランスを整えていきました。重要なのは、症状が出ている部位だけを見るのではなく、「なぜそこに負担がかかっているのか」を全体の中で捉えることです。そして初回の施術の時点で身体には明確な変化が現れ、その後の試合では足が攣ることはなくなり、90分を通してプレーできる状態へと変化していきました。この変化をきっかけに、現在も週1回のペースで継続的にサポートを行っています。
トレーニングでは、足趾や足部の細かいコントロール、体幹の部分的な安定性、そして呼吸の改善にフォーカスしています。強度を上げることよりも、「正しく使える身体」を作ることを重視しています。特に呼吸は体幹の安定性やパフォーマンスにも影響する重要な要素です。綱島選手は、東京ヴェルディジュニアユース、東京ヴェルディユースで育成を受け、国士舘大学を経て、東京ヴェルディでプロキャリアをスタート。その後ヨーロッパに渡り、現在はロイヤル・アントワープFCでプレーしています。ポジションはDFとボランチをこなし、現在は3バックのサイドとしてほぼ毎試合フル出場を続けています。
ヨーロッパでプレーするというのは、移動、気候、試合強度、そして競争といった様々な負荷が重なる環境です。その中でシーズンを通して結果を出し続けるためには、日々のコンディショニングが不可欠です。
綱島選手の目標は、日本代表に定着することです。そして選手を支える立場として、自分自身もその目標に貢献していきたいと考えています。パフォーマンスを最大限に引き出し、年間を通して戦い続けられる身体を作ること。それが自分の役割です。
一見シンプルに見える問題でも、その背景には複数の要因があります。だからこそ表面的な対処ではなく、身体全体を見て根本から整えることが重要です。これからも現場での経験を積み重ねながら、ヨーロッパで戦う日本人選手を支え続けていきたいと思います。



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