トップページ > スタッフブログ > 【蔵本達也のドイツ社会人留学リポート】Vol.49 3度目のバルセロナカップ帯同を終えて

スタッフブログ

【蔵本達也のドイツ社会人留学リポート】Vol.49 3度目のバルセロナカップ帯同を終えて

2026/10/28


今回、スペインで開催されたバルセロナカップに、U-12チームのコーチ兼トレーナーとして帯同してきました。バルセロナカップへの帯同は今回で3回目となります。今回はU-12チームだけでなく、U-10の選手たちのサポートやチーム全体のコンディショニングにも関わらせていただきました。海外の大会に帯同すると、普段の活動ではなかなか得られない経験がたくさんあります。サッカーの技術や戦術はもちろん、異なる文化や環境の中で試合をすること、慣れない環境でも自分の力を発揮すること、そして仲間と協力しながら大会を戦い抜くこと。子どもたちにとって、その一つひとつが大きな学びになります。私自身も、コーチとして選手たちのプレーを見ながら、トレーナーとして身体の状態を確認し、試合に向けた準備から試合後のケアまで、さまざまな場面でサポートを行いました。

 今回の大会には、スペインをはじめ、イングランド、UAE、スウェーデン、アイルランド、デンマーク、ブラジルなど、さまざまな国や地域からチームが参加していました。国が違えば、サッカーのスタイルも異なります。身体の大きさやスピード、プレーの強度、試合の進め方など、普段対戦している相手とは違う特徴を持ったチームと試合ができることは、選手たちにとって非常に貴重な経験です。U-12チームは12チームが参加する大会で3位という結果でした。準決勝ではブラジルのチームと対戦し、0対2で敗れました。試合内容としては決して一方的に押し込まれたわけではなく、十分に戦える展開でした。しかし、チャンスを得点につなげることができず、相手には少ないチャンスを確実に決められてしまいました。サッカーでは、ボールを保持している時間や試合の流れだけで勝敗が決まるわけではありません。どれだけ良い形をつくっても、最後の局面で決め切れなければ得点にはなりませんし、相手のわずかなチャンスを逃せば失点につながることもあります。今回の準決勝を通して、チャンスを得点につなげる力や、試合の重要な場面での判断の大切さを改めて感じました。選手たちにとっては悔しい結果だったと思いますが、負けた試合から学べることはたくさんあります。なぜうまくいかなかったのか、次に同じような場面が訪れたらどうするのか。結果だけを見て終わりにせず、自分たちで考え、次につなげていくことが大切です。

 一方、U-10チームは12チームが参加する大会で見事に優勝しました。異なる国の選手たちと対戦しながら、一試合一試合を戦い抜き、優勝という結果をつかみ取ったことは素晴らしいことです。U-12の3位、U-10の優勝と、結果としても充実した大会になりました。しかし、私が今回の帯同を通して大切だと感じたのは、順位だけではありません。試合の準備や試合後の振り返り、身体のケア、仲間との関わり方など、日々の積み重ねの中にこそ、子どもたちの成長につながる大切な要素があると改めて感じました。
 トレーナーとしては、練習や試合前のウォーミングアップ、試合後のクールダウン、テーピング、ケガへの対応、試合後のリカバリーなどを行いました。大会期間中は連日試合が続くこともあり、選手たちの身体には大きな負担がかかります。普段とは違うピッチや気候、移動による疲労、試合への緊張感なども重なるため、いつも以上にコンディションの管理が重要になります。今回は入院や病院での処置が必要になるような大きなケガはありませんでしたが、テーピングや身体のケアを必要とする選手は多くいました。痛みがある場所や程度は選手によって異なり、同じような症状に見えても原因が同じとは限りません。そのため、痛みがある場所だけを確認するのではなく、身体全体の動きやバランスにも目を向けるようにしていました。

 特に気になったのが、成長期に多く見られる膝の痛みです。オスグッド・シュラッター病やジャンパー膝など、成長期の選手に起こりやすい症状を抱えている選手もいました。サッカーでは、走る、止まる、方向を変える、ジャンプする、ボールを蹴るといった動作を何度も繰り返します。膝には大きな負担がかかるため、成長期の選手は特に注意が必要です。今回、選手たちの動きを見ていて感じたのは、股関節を十分に使えていない選手が少なくなかったことです。股関節をうまく使えないと、本来は股関節や足首などにも分散されるはずの負担が、膝に集中してしまうことがあります。身体の柔軟性や関節の動き、筋力、姿勢、走り方や着地の仕方など、さまざまな要素が関係しているため、膝が痛いからといって膝だけをマッサージしたり、痛みのある部分を伸ばしたりするだけでは、十分ではない場合があります。もちろん、痛みがあるときには、まず状態を適切に確認し、必要に応じて運動量を調整したり、医療機関での評価につなげたりすることが大切です。そのうえで、なぜそこに負担がかかっているのかを考え、股関節や足首の動き、身体の使い方まで含めて評価する必要があります。目の前にある痛みを和らげることも大切ですが、痛みが起こりやすくなっている背景を探り、再発を防ぐための身体づくりを考えることも、トレーナーの重要な役割です。

 また、身体のケアはトレーナーが行う施術やテーピングだけで完結するものではありません。選手自身が自分の身体に関心を持ち、疲労や痛みのサインに気づき、必要な行動を取れるようになることも重要です。大会期間中は、選手たちの身体の状態を確認しながら、ストレッチやリカバリーの方法、疲労をため込まないための過ごし方なども伝えてきました。自分の身体の状態を知り、「ここが張っている」「この動きをすると痛みがある」と、自分の言葉で伝えられるようになることも大切な成長です。自分の身体を理解することは、ケガの予防だけでなく、競技を長く続けていくための力にもなります。

 大会の最後には、選手たちが集まる場で、身体のケアや休養、食事について話をする機会もいただきました。試合に勝つために技術や戦術の練習を重ねることはもちろん大切ですが、練習で身につけた力を試合で発揮するためには、身体を回復させ、次の活動に向けて準備する時間も必要です。どれだけ一生懸命に練習しても、疲労が十分に回復していなければ、思うように身体が動かないことがあります。睡眠や休養、食事の量と質、水分補給など、日常生活の中でできることがパフォーマンスに大きく影響します。特別なことをする前に、まずは必要な食事をしっかり取ること、十分に眠ること、疲れているときには身体を休めること。こうした基本を大切にしてほしいと伝えました。特に成長期の子どもたちは、サッカーのためだけに身体を使っているわけではありません。身長や体重が変化し、骨や筋肉などが発達していく大切な時期です。日々の練習や試合で消費するエネルギーに加えて、成長するための栄養も必要になります。食事の量が不足していたり、食べる内容が偏っていたりすると、疲労が抜けにくくなったり、身体の成長やコンディションに影響したりする可能性があります。

 さらに、サッカーの練習だけをしていれば、身体がバランスよく成長するというわけでもありません。年齢や個人の状態に合わせながら、走る、跳ぶ、バランスを取る、さまざまな方向へ身体を動かすといった経験を積むことも大切です。特定の動きばかりを繰り返すのではなく、いろいろな身体の使い方を身につけていくことが、将来のパフォーマンスやケガの予防にもつながっていきます。私はこれまで、トップアスリートのケアやコンディショニングに関わる経験をしてきました。その中で感じてきたのは、競技レベルが高くなればなるほど、自分の身体の状態を把握し、日々の準備や回復を大切にしている選手が多いということです。トップアスリートと子どもたちでは身体の状態も環境も異なりますが、自分の身体を理解し、必要なケアを行い、より良い状態をつくるために自ら考えるという基本は、どの年代にも共通していると感じます。

 そして、今回の大会で特に伝えたかったことは、身体のケアやサッカーの技術だけではありません。それは、人として大切なことについてです。選手たちは、選ばれて海外の大会に参加しています。普段のチーム活動とは異なる環境でプレーできることは、とても貴重な経験です。しかし、選ばれた選手であるということは、サッカーが上手であればそれでよい、ということではありません。自分の行動に責任を持ち、周囲への感謝を忘れず、チームの一員としてふさわしい振る舞いをすることも大切です。時間を守ること、あいさつをすること、自分の準備は自分で行うこと、誰かに迷惑をかけてしまったときにはきちんと謝ること、そして誰かに何かをしてもらったときには感謝の気持ちを言葉にして伝えること。どれも特別なことではありませんが、こうした当たり前のことを、どんな環境でも当たり前にできることは、簡単なようで難しいものです。試合に勝つことや技術を磨くことに意識が向きがちな時期だからこそ、日常の行動や人との接し方も大切にしてほしいと思っています。

 サッカーは一人ではできないスポーツです。仲間がいて、指導者がいて、トレーナーがいて、食事や生活を支えてくれる家族がいて、初めて思い切りプレーできる環境が成り立ちます。自分がプレーできていることを当たり前だと思わず、支えてくれている人たちの存在に気づける選手になってほしいと考えます。その気持ちは、今回の選手たちにも伝えたいと思っていました。また、選手自身が考え、行動することも大切にしてほしいと話しました。何かを言われてから動くのではなく、今、自分には何が必要なのかを考える。失敗したときには誰かのせいにするのではなく、自分にできることはなかったかを振り返る。うまくいかないことがあったときに、すぐに諦めるのではなく、どうすれば改善できるのかを考える。こうした力は、サッカーの場面だけで役立つものではありません。学校生活や家庭での過ごし方、これから先の人生においても必要になる力です。失敗をしないことが大切なのではなく、失敗から何を学び、次にどう行動するかが大切です。試合でミスをすることもあれば、思うような結果が出ないこともあります。身体のケアや生活面でも、最初からすべてを完璧にできるわけではありません。だからこそ、失敗を必要以上に恐れず、自分で考え、挑戦し、振り返る経験を積んでほしいと思います。

 今回、保護者の方々からも、身体のケアや人として大切なこと、食事や栄養について話を聞けてよかったという声をいただきました。こうした言葉をいただけたことは、私にとっても大きな励みになりました。選手を支えるうえでは、指導者やトレーナーだけでなく、保護者の方々の理解や協力も欠かせません。子どもたちが毎日の食事や休養を大切にするためには、家庭での環境も大きく関係します。また、選手が自分の身体について考え、困ったときに周囲へ相談できるようになるためには、大人がその成長を見守り、必要なときに支えることも大切です。選手本人に伝えるだけでなく、保護者の方々にも身体のケアや栄養、日々の生活の大切さを知っていただくことには意味があると感じています。少しの知識や意識の変化が、子どもたちのコンディションや将来の成長につながるかもしれません。今回のような機会を通して、選手と保護者の双方に役立つ情報を届けていけたらと思っています。

 3度目となったバルセロナカップへの帯同。U-12は3位、U-10は優勝という結果を残すことができ、選手たちにとってもスタッフにとっても、実りの多い大会になりました。もちろん、結果には喜びも悔しさもあります。しかし、それ以上に、異なる国の選手たちと競い合った経験、自分たちの課題に気づいた経験、仲間と協力して大会を戦い抜いた経験は、これから先も選手たちの中に残っていくはずです。私自身も、コーチとして戦術やプレーを考えること、トレーナーとして身体の状態を見極めること、そして子どもたちに何を伝え、どのような成長を支えていくべきかを考えることなど、多くの学びがありました。選手たちの頑張る姿から刺激を受ける場面も多く、改めてスポーツに関わる仕事のやりがいを感じることができました。

 トレーナーの役割は、痛みが出たときに対応することだけではありません。選手が良い状態で競技に取り組めるように準備し、ケガを予防し、必要な知識を伝え、自分自身で身体を管理できるようにサポートすること。そしてコーチとしては、選手たちが技術や戦術を学ぶだけでなく、失敗から学び、自分で考え、周囲の人を大切にしながら成長していけるように関わっていくことを大切にしています。こうした考え方は、スポーツ選手だけに必要なものではありません。日々の疲れを感じている方、自分の身体の不調が気になっている方、健康のために何かを始めたいと思っている方にとっても、身体の状態を知り、日々の生活を見直し、自分にできることから取り組むことは大切です。これからも、現場で得た経験や学びを自分の中だけにとどめず、できるだけ多くの方に役立つ情報として発信していきたいと思います。選手のケアやコンディショニング、成長期の身体のこと、ケガの予防、栄養や休養、そしてスポーツを通して学べること。専門的な内容であっても、できるだけわかりやすく、日々の生活に生かしていただける形で伝えていければと考えています。

 今回の大会で得た経験を、これからの選手サポートや情報発信にもつなげながら、スポーツに取り組む子どもたちはもちろん、健康や身体について関心のある方々にも貢献していきたいと思います。大会に関わってくださった皆さま、選手たちを支えてくださった保護者の皆さま、そして貴重な経験をさせていただいたチームの皆さま、本当にありがとうございました。これからも、選手一人ひとりの成長を大切にしながら、コーチとして、トレーナーとして、自分にできるサポートを続けていきたいと思います。






飛翔会の整形外科クリニック


スポーツ支援活動実績