トップページ > スポーツドクターコラム > スポーツドクターコラム

スポーツドクターコラム《スポーツドクターコラム》

No.26「様々な種類に分けられる骨折」

2005/11/10

骨折



スポーツの練習中や競技中に最も多く発生する障害の一つである骨折には、様々な種類があります。原因別に大きく分けると、怪我による「外傷性骨折」、ガンなどの病気などによって骨が弱くなったために起こる「病的骨折」、骨の限局した部分に繰り返し負荷がかかることで起こる「疲労骨折」の3つに分類されます。さらに、骨折した箇所(骨幹部、骨幹端、骨端部)、折れ方(横、斜め、らせん、粉砕)、程度(完全、不全など)、外力の作用方向(剥離、屈曲、圧迫など)、軟部組織損傷の有無などでも分類することができます。

中でも注意しなければならない骨折の一つが、軟部組織損傷を伴った開放骨折です。骨折した部分が皮膚から突出したり、外見上は突出していなくても出血があり傷跡が見られるときは、手術に至ることが多くあります。皮膚は体にばい菌が入らないようにバリアをする役目があるのですが、開放骨折ではそのバリアを骨が突き破ってしまうため、骨髄などが感染する可能性が高くなってしまうのです。ですからできるだけ早い処置が求められます。

骨折は誰にでも起こり得ますが、筋肉が固く柔軟性が乏しい選手の方が、比較的骨折をしやすいと言えるでしょう。骨とつながっている筋肉が固ければ、運動による負荷を筋肉の伸縮によって吸収することができないからです。そうなると筋肉と骨の接点にかかる負荷も大きくなり、剥離骨折を起こしやすくなってしまいます。ですから体の固い選手はよりストレッチをしっかりと行い、運動前から体の柔軟性を高めておかなければなりません。

また子供は成長軟骨が筋肉より弱いため、骨の強い大人ならば靱帯が切れる場合でも、成長軟骨が損傷してしまうことが多くあります。しかし成長軟骨の損傷はレントゲンに映らないため、注意が必要です。例え最初のレントゲン検査で異常が見つからなかったとしても、痛みがあったり腫れを伴っているときは、必ず1?2週間後に再検査を受けましょう。

骨折を防ぐためには、ビタミンD、カルシウム、タンパク質の摂取にも気を配らなければなりません。骨をビルの建設に例えると、カルシウムがコンクリート、ビタミンDがコンクリートの運搬役、タンパク質が鉄筋にあたります。カルシウムだけ摂取していても、ビタミンDが不足していれば体に行き渡らせることができませんし、タンパク質がなければカルシウムが体内に流れ出るだけで吸収はされないため、3つのバランスを取った食事を心掛けることが大切なのです。

どのスポーツにおいても指を痛めてしまうと、その後のプレーに重大な影響を及ぼします。どんなケースでも、まず早めに受診することを心掛けましょう。




スポーツドクターコラムは整形外科医師 寛田クリニック院長 寛田 司スポーツ医療スポーツ障害症状治療について分りやすく解説します。

飛翔会の整形外科クリニック


スポーツ支援活動実績 物販事業