トップページ > お知らせ

お知らせ

「バランストレーニング①」 大石 博暁

 ストレングス&コンディショニングコラム

2011/08/23

バランストレーニング



PDF版
 
バランス能力とは、体の各部位が三次元の空間の中でどのような位置関係にあるかを感じ取り、その姿勢を保持したり、動きに応じて調整していく能力のことを言います。中でも姿勢を安定させるバランスキープ能力と、姿勢が崩れたときに元に戻そうとするバランスリカバリー能力は、スポーツにおいても重要です。この2つの動きが繰り返し要求されるため、トレーニングをすれば技術や柔軟性の向上なども期待できます。

バランスの基本は、立ち姿勢になります。しかし簡単なように見える直立でも意外に難しく、全日本男子バレーボールの選手でも重心が中央からずれている選手は複数いました。前側の筋肉が収縮して後ろ側が伸びてしまうなど、うまくバランスを取れていない人は多いのです。

理想は、筋肉が伸びすぎず縮みすぎず、ニュートラルな状態になっていることです。一方の筋肉が縮んでいると、必然的に反対側の筋肉が伸びてしまい、力を出しにくくなってしまいます。また骨と筋肉はつながっているため、一部の筋肉が収縮すると関節の動きも制限されます。一般的に筋力トレーニングはよく行われていますが、バランス能力を高めることも競技力向上には欠かせません。
 
そこで今回から数回に渡って、バランストレーニングを紹介します。これらの種目がしっかりとできるようになれば、深層の筋肉が鍛えられ、不安定な状態でも体幹がぶれることは少なくなるはずです。トレーニング前に片脚を上げて前後に振るなどして自分のバランスを感じておき、トレーニング後に同じ動作をするとその劇的な効果が分かるでしょう。

バランストレーニングを行うときは、まず体幹を意識することを心掛けます。仮にバランスが取れても、表層の筋肉を使ったり、手足を動かしたりしてはあまり意味がありません。あくまでも自然に力の抜けた状態で立ち、自分の重心がどこかにあるのかを感じながらトレーニングをすることが大切です。
今回紹介する種目では、ボスバランス(=ボス)を用います。ボスは下が平で上が半球の形をしたゴムでできており、上に乗ると不安定な状態を作ることができます。平らな面を上にすると足関節中心の動きが、球状の方を上にすると股関節の動きが強調して鍛えられるなど使い方は多様です。トレーニングの順番としては、難易度の低い球状の方を上にして始めるとよいでしょう。
まず座位からスタートし、四つ這い、膝立ち、立位、さらにボスバランスを裏返して平らな面を上にするなど、次第に高度なプログラムを組んでいきます。

【1】座位
STEP1…平らな面を下にして、ボスの中心にお尻の中心がくるように座り、肘と膝をクロスする。しっかりと体幹を安定させておかなければ、ボスから転げ落ちてしまうため注意。
 
STEP2…平らな面を下にして、ボスの中心にお尻の中心がくるように座り、STEP1とは反対の肘と膝をクロスする。座っている場所が球状であるため、しっかりと体幹を安定させることが大切。

【2】四つ這い
STEP1…ボスの上に両手、両膝をつけて四つ這いになって乗る。床に四つ這いになったときのように肩の真下に手をつくことはできないが、膝はボスの一番安定したところにつくようにする。
 
STEP2…STEP1の姿勢から、片手を上げた状態で静止する。スタビライゼーショントレーニングで四つ這いから片手を上げたときよりも、難易度は高い。片手を上げることで上肢との連動を図る。
 
STEP3…STEP1の姿勢から、片脚を上げる。脚を上げることで、上げた方のお尻の筋肉をしっかりと使うことができる。ふらつかず、体幹が頭から踵まで一直線になるようにする。
 
STEP4…STEP1の姿勢から、対角の手と脚をまっすぐに上げて静止する。ここからかなり難易度が上がるため、STEP3までがしっかりできるようになってから挑戦した方がよい。
 
STEP5…STEP1の姿勢から片手を横に上げて、対角の膝を90度に曲げて横に上げる。腕はしっかり伸ばして、膝は股関節の真横にくるようにする。体幹がねじれたり、お腹が落ちないように注意。






ストレングスコンディショニングコラムは元男子バレーボール日本代表フィジカルコーチ 大石 博暁を始めとした、
飛翔会グループの経験豊富なスタッフが、
トレーニングについて分りやすく解説します。

飛翔会の整形外科クリニック


スポーツ支援活動実績 物販事業