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【蔵本達也のドイツ社会人留学リポート】Vol.34 ジュニア世代の『今』と『これから』~夏の大会から見えた未来への可能性~
スタッフブログ2025/07/22
皆さん、こんにちは。いつも当ブログをご覧いただき、誠にありがとうございます。
7月に入り、ドイツでは一時的に35度を超える猛暑が続く時期がございましたが、ここ数日は比較的涼しく、日中も25度前後と非常に過ごしやすい気候が戻ってきております。湿気も少なく、朝晩も快適に過ごせるため、日本のような「蒸し暑さ」がないのは、ドイツならではの過ごしやすさかもしれません。日の入りも遅く、夜21時頃まで明るさが残るヨーロッパの夏は、時間の流れがとても穏やかで、つい自然と心が落ち着くような気持ちになります。
そんな中、私は7月初旬に開催されました少年サッカー大会(中学生・小学生部門)に、理学療法士兼U-12コーチとして参加させていただきました。今回で3回目の帯同となりましたが、毎年この大会を通して得る学びや出会いは本当に大きく、今年もまた心揺さぶられる二日間となりました。
■ 欧州中の子どもたちが集まる夏の恒例イベント
この大会は、毎年夏にフランクフルト近郊で開催されている日本人ジュニアサッカー大会で、ドイツ国内(デュッセルドルフ、ミュンヘン、フランクフルト)にとどまらず、ベルギー、スペイン、イギリス、フランスなど、ヨーロッパ各国からたくさんの日本人・日系の子どもたちが参加しています。
大会の目的は単なる順位を競うことではなく、「仲間と共に戦うこと」「個人として成長すること」「日本のサッカー文化を繋ぐこと」に重点が置かれており、毎回多くの感動が生まれています。
今年からは新たに中学生カテゴリー(U-15)も設けられ、より年齢層の幅が広がったことも特徴的でした。これにより、大会の規模も年々大きくなりつつあり、まさに“欧州在住の子どもたちにとってのひとつの夢の舞台”として育ってきている印象を受けます。
■ 世界大会への切符 スペイン・バルセロナへの挑戦
さらに今年の大会では、各カテゴリー(U-10、U-12、U-15)の中から優秀選手が選抜され、日本代表チームとして2025年10月17日~20日にスペイン・バルセロナで開催される国際大会に出場することが決定しております。
この大会には、ブラジル、日本、スペイン、イングランド、イタリア、フランス、ドイツ、フィンランド、ノルウェー、オランダ、スロベニア、スイスなど、世界各国から精鋭チームが集まります。
私はその大会において、日本代表選抜の理学療法士、そしてU-12チームのコーチとして帯同することが決まりました。
これは私にとっても4度目の帯同となりますが、国際大会という舞台で、子どもたちがどれほど成長し、世界に挑んでいくのか、今から非常に楽しみにしております。
■ 7月5日(土)中学生部門大会 理学療法士としての現場対応
まず7月5日(土)は、中学生部門(U-15)の試合が行われました。私はこのカテゴリーにおいてはチームを直接担当しておりませんでしたが、全体の選手管理およびスカウティング、さらには怪我の対応やテーピングなど、理学療法士としての役割を中心に活動しておりました。
この日は気温が非常に高く、選手の中には試合中に足がつってしまったり、軽度の脱水症状を訴える選手も複数見受けられました。そのたびに水分補給とストレッチ、アイシングなどのケアを行い、怪我の予防とパフォーマンス維持のサポートをさせていただきました。
また、転倒による手首の打撲でテーピング処置を施した選手もおりましたが、大事には至らず、無事に大会を終えることができました。
選手の中には「パリ・サンジェルマンの下部組織やドイツのブンデスリーガの下部組織に所属している選手が参加していた」という情報もあり、そういった高いレベルのプレーヤーたちと一緒にプレーすることで、他の選手たちも非常に良い刺激を受けていたように感じました。
■ 7月6日(日)小学生部門大会 コーチとしての熱い一日
翌日の7月6日(日)は、小学生部門(U-12)の大会が開催され、私はベルギーから参加したチームのコーチとして帯同しました。
この日も気温は高く、体力的にも厳しい環境ではありましたが、選手たちはどの試合も本気で戦い抜き、試合を重ねるごとにチームとしてのまとまりと個々の成長が見えてきました。
結果としては12チーム中5位という成績ではありましたが、優勝チームとの試合では0-1の僅差。内容的には互角で、最後まで勝利の可能性を感じられる素晴らしい試合でした。
特に最後の試合では、優勝候補チームを相手に1-0とリードする展開となり、スタンドも大いに盛り上がりましたが、惜しくも逆転され1-2での敗戦となりました。
それでも、最後の一瞬まであきらめずに戦い抜いた子どもたちの姿勢には、心から感動し、自然と目頭が熱くなる瞬間がありました。
■ サッカーを通じて再び感じた「情熱」
私自身、サッカーを辞めてからというもの、日常生活の中で「心から感情を爆発させるような瞬間」に出会うことが少なくなっていました。しかし、こうして理学療法士として、そしてコーチとしてサッカーの現場に立つことで、選手とともに戦い、喜び、悔しさを共有する時間は、何にも代え難いものであると改めて実感しております。
また今回の大会を通して、ジュニア・ジュニアユース年代の成長速度には本当に驚かされるとともに、「今この時期だからこそ育てられるものがある」ということも深く感じました。
■ 育成年代へのサポート フィジカルベースを育てる
大会を通じて感じたのは、技術的には非常に高い選手が多い一方で、フィジカルベース、体幹・姿勢・バランス・柔軟性などの基礎的な部分においてはまだ課題が残るということです。
これはどの国においても共通のテーマかもしれませんが、日本人選手が将来世界で戦っていくためには、今のうちからその土台をしっかりと築いておく必要があると強く感じました。
例えば日本代表の久保建英選手も、ジュニア年代の頃から体幹トレーニングに取り組んでいたことは広く知られています。彼のプレーを見ていても、重心の安定性、姿勢の良さ、頭の位置のコントロールなど、全てにおいて「身体の使い方」が非常に洗練されています。
このような能力は、才能だけではなく、日々の基礎トレーニングによって培われた結果であることを、改めて実感いたしました。
今後は、プロ選手のサポートに加えて、ジュニア・ジュニアユース年代の選手たちに対しても、正しいフィジカル強化・姿勢改善・怪我予防などの観点からアプローチしていきたいと考えております。
まずはここ、ドイツ・デュッセルドルフ周辺に在住の日本人および日系の小中学生を対象に、私が専門としている体幹トレーニング通じて、アスリートとしての基礎力を育てていく活動をスタートさせたいと考えております。
■ 最後に
今回の大会も、多くのドラマがあり、たくさんの学びと感動をいただきました。
何よりも、大きな怪我なく無事に二日間の大会を終えられたこと、そして子どもたちが全力でサッカーに向き合う姿を間近で見られたことが、私にとって何よりの喜びでした。
10月には、いよいよスペイン・バルセロナでの国際大会が控えております。今後どのような選手たちが選ばれ、どのように世界と向き合っていくのか、非常に楽しみです。
そしてその成長を、しっかりとサポートできるよう、私自身も引き続き学びを深め、現場での活動に還元してまいりたいと思っております。
ここまでお読みいただき、誠にありがとうございました。
また次回のブログも、ぜひご覧いただけましたら幸いです。



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