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スポーツドクターコラム

No.18「投球障害肩は故障の原因を知ることが大切」

2005/03/10

投球障害肩




投球動作を行うことで生じる肩の障害を、総じて投球障害肩と言います。これは多くの投手が抱える故障の一つで、一般には投げ過ぎによるものとみられることが多いのですが、本当の原因はそれだけではありません。むしろ体のバランスや投球フォームが原因である場合の方が多いでしょう。 投球障害肩には様々な症状があります。その一つが肩甲骨と上腕骨の間にある関節唇を損傷する場合です。アンバランスな投球動作を行うとき、肩関節の中に入り込んでいる上腕二頭筋長頭腱に負担がかかることによって、それとつながっている関節唇が切れてしまうのです。この症状になるとリハビリだけで治すことは難しく、将来的には手術が必要になる場合もあります。

また、腱板断裂という症状も多くみられます。これは肩関節直上にあるいわゆる『インナーマッスル』の上腕骨につながる腱が切れてしまう状態です。 このような症状になった場合は、なぜ肩を痛めてしまったのかという要因を知ることが大切になります。例えば腰を痛めて投球バランスを崩し手投げになったために肩を痛めた場合は、肩と同時に腰も治さなくてはいけません。肩だけを手術で治したとしても、その故障を引き起こす原因となった部分を直さなければ、同じ怪我を再発してしまうからです。診断の際には肩だけではなく、投球動作全体の運動をみることが必要なのです。

昔の野球のコーチは、型にはめた投球フォームしか教えず、個性を認めないからからよくない、と言われた時代がありました。確かにメジャーリーグを見ても特有のフォームで投げ、勝利を挙げている投手もいます。しかしそういった選手の選手生命は、短い場合が多いことも事実なのです。

理想の投球フォームとして、ヤンキースのランディ・ジョンソンがよく挙げられます。彼が41歳となった現在も第一線で活躍し続けられるのは、自己管理がしっかりしていることと共に、フォームがきちんとしているからでもあるのです。 カープでは安仁屋投手コーチが秋季キャンプで徹底した下半身強化を打ち出し、投手陣を走り込ませましたが、これもとても大切なことです。大野豊さんもそうであったように、長い間投げ続けられた選手はみな下半身がしっかりしています。下半身を鍛えることで手投げの状態を防ぎ、投球フォームの軸を作ることで肩の故障を予防することもできるのです。筋トレで筋力を鍛えるだけではなく、走り込みで下半身強化をすることも選手にとっては重要でしょう。

スポーツドクターコラムは整形外科医師 寛田 司スポーツ医療スポーツ障害症状治療について分りやすく解説します。

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