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スポーツドクターコラム

ひろスポ版【第6回】~仕事やスポーツなどによるアキレス腱の”使い過ぎ”に注意!かかとに腫れ、痛みが出るアキレス腱付着部症の予防と治療~

2015/01/07

アキレス腱付着部症
2025/10/07更新

新しい年がスタートしました。一念発起!今年からスポーツを始めようと考えている方も多いことでしょう。スポーツ障害に対する知識を深めて、ぜひ有意義なスポーツ&余暇活動を楽しんでいただきたいと思います。そこで、今回は「かかとの腫れや痛み」についてお話します。昨秋、このコーナーで「アキレス腱断裂」についてお話しましたが、今回もアキレス腱に関するスポーツ障害です。これまでと同様、カギとなる用語などには「  」をつけました。

仕事やスポーツで「アキレス腱を酷使」することによって起こるのが「アキレス腱付着部症」

かつて中日で活躍した矢沢選手が現役時代に悩まされたスポーツ障害、それが「アキレス腱付着部症」です。仕事やスポーツで「アキレス腱を酷使」することによって起こります。また、「筋肉の柔軟性低下」によっても起こりやすくなりますから、体が硬いな、という自覚症状のある方は注意しましょう。足に合っていない靴を履くことによっても起こるスポーツ障害です。

具体的な症状としては、アキレス腱とかかとの骨が付着している部位に強い牽引力(引っ張る力)が働くことにより付着部に炎症が起きます。特に足首を上向きに曲げると強い痛みが生じます。腫れも見られるようになります。さらに進行するとその部位に「石灰化・骨化」などの組織の変化が生じます。レントゲンで診ると腱に突き出た「骨棘」(骨のトゲ)などが認められるようになります。

矢沢選手の場合はその症状が極端でした。その対策として、矢沢選手は当時では非常に珍しいハイカットのスパイクを着用して、患部に負担をかけないよう工夫していました。それでも最終的には症状がひどくなり、引退の道を選ぶこととなりました。こうした深刻な状況を避けるためにも、日頃からの予防対策が大切になってきます。

予防策の一番手はストレッチを習慣づけること、そして冷却すること、市販のシューズ中敷きも効果的

運動前には、とにかくしっかりとストレッチを行うこと。まずはこのことを徹底してください。特に足のストレッチは入念に行う必要があります。もしもかかとに何等かの違和感が生じた場合は、運動後にしっかり冷やすようにしましょう。

治療法は「足に合った靴を履く」、「靴に中敷きを装着する」などすぐにでもできるものから、薬物療法、手術療法まで段階に応じていろいろです。傷みが非常に強い場合は、ステロイド剤の局所注射を行うこともまれにありますが、アキレス腱断裂を招く恐れもありますので慎重な対処が必要です。

手術療法では、腱が変形した部分や、かかとの骨の出っ張りの一部を除去します。最近では内視鏡手術が行われます。

もしもみなさんの中に、階段の昇り降りや走る時にかかとに痛みが出る、あるいはアキレス腱付着部付近を押さえたり、つまんだ時に痛みが感じられるという方がいらっしゃいましたら「アキレス腱断付着部症」を疑い、早目に診察を受けるようにしてください。

気持ちのいい汗をかくためにも、まずは日々の健康第一。今年もこのコーナーではいろいろなスポーツ障害について、その原因や予防法などをお話していく予定です。引き続きよろしくお願いいたします。

よくあるご質問(Q&A)

Q1. アキレス腱付着部症とは何ですか?

A. アキレス腱が「かかとの骨(踵骨)」に付く部分で炎症が起きる病態です。使い過ぎや柔軟性低下、合わない靴などが主因で、歩行や階段昇降、つまむ・押すといった刺激で痛みが強まります。進行すると付着部に「石灰化」や「骨棘(こつきょく:骨のトゲ様変化)」が生じ、慢性化の要因になります。

Q2. 石灰化や骨棘が見つかったら、自然に治りますか?

A. 石灰沈着が自然に小さくなる例もありますが、消えずに残ることが多いです。ただし痛みの主因は“炎症と牽引ストレス”であることが多いので、まずは負担軽減(安静、活動調整)、ストレッチ、靴・インソールの見直し、必要に応じて消炎鎮痛薬や理学療法で症状改善を目指します。痛みが続く場合に、体外衝撃波などの選択肢、最終的に手術(変性部・骨隆起の処置)を検討します。

Q3. 予防のために日常でできることは?

A. ふくらはぎ~アキレス腱のストレッチ習慣(運動前後)、合った靴の着用、中敷き(インソール)の活用、運動後のアイシングが基本です。違和感の段階で無理をやめ、活動量・強度を一時調整すると悪化を防げます。

Q4. ステロイド注射は有効ですか?副作用は?

A. 痛みを短期的に和らげる効果はありますが、打ち方や部位を誤るとアキレス腱断裂のリスクがあるため、適応は慎重に判断します。回数は必要最小限が原則です。再発予防には、原因(使い過ぎ・柔軟性不足・靴)への介入が欠かせません。

Q5. どのタイミングで受診すべき?

A. 2〜3週間以上痛みが続く/階段やランで日常生活が支障/夜間痛や腫れが強い/自己対処で改善しない――いずれかに当てはまれば整形外科受診を推奨します。必要に応じてX線(石灰化・骨棘の確認)や超音波で炎症・腱変性の評価を行います。

Q6. 靴とインソールは何を意識すればよいですか?

A. かかとをしっかり保持でき、ソールに適度なクッションがあるものを選びましょう。靴のカウンター(かかと部)が硬すぎて直接当たると悪化する場合があるため、インソールで踵の当たりを分散させると効果的です。必要に応じてヒールリフト(軽い踵上げ)を使うと、付着部への牽引が減り痛みが和らぐことがあります。

整形外科ではオーダーメイドのインソール(足底板)を作成でき、既製品よりも足の形や炎症部位に合わせた調整が可能です。再発予防にもつながるため、長引く痛みがある場合は一度相談するとよいでしょう。医師の診断に基づく処方で作成する場合、健康保険の適用となることもあります。

Q7. 再発を防ぐポイントは?

A. 痛みが引いた後も、ふくらはぎの柔軟性維持、段階的な運動再開、体重管理、フォーム・練習量の見直しを継続すること。違和感が戻ったら強度を一段階落として早めにリカバリーに切り替えると慢性化を防げます。

Q8. どのくらいで治りますか?運動は続けても大丈夫?

A. 軽症なら数週間で改善することもありますが、炎症や石灰化を伴う場合は数か月かかることもあります。医師や理学療法士の指示のもとで、痛みが許す範囲のメニューに調整すれば運動継続は可能です。痛みが強い局面では、跳躍・ダッシュなどの高負荷は一時的に控えましょう。

飛翔会の整形外科クリニック


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