トップページ > スポーツドクターコラム

スポーツドクターコラム

No.19「野球選手における肘の故障~前編~」

2005/04/10

肘の故障



野球をすることによって起こる肘の障害のことを、総称して『野球肘』と言います。様々な症状が考えられますが、成長期である小中学生の選手の場合は、骨が未発達なため、投球時に骨端線や骨端核といった骨の成長を担う部分を損傷するケースがよくみられます。骨が成熟している大人の野球肘(骨棘や関節ねずみなど)は、成長期の症状の延長上にあると言えるでしょう。   成長期に野球肘を起こす箇所としては、肘の先端である肘頭と呼ばれる部分と、肘の内側(小指側)、外側(親指側)の3つのパターンがあります。   

まず1番目の肘頭タイプは、投球動作の中で振りかぶってボールを手から離す際に、三頭筋とつながっている肘頭が激しく引っ張られるため、その肘頭の骨端線が損傷してしまう場合です。2番目の内側タイプは、振りかぶって肩が一番大きく外旋しているときに、内側側副靱帯に引っ張られた骨端線が損傷する場合です。そして3番目の外側は、ボールを離そうと腕を思い切り速く振る瞬間、上腕骨小頭ととう骨小頭がぶつかりあうことによって、主に上腕骨小頭の骨端核と骨端線を損傷する場合です。この外側のタイプでは、上腕骨小頭の骨端核の壊死や、表面の軟骨と骨が遊離してしまい、離断性骨軟骨炎に発展することもあります。   

いずれの場合も初期の段階で投球動作を止め、安静に加療していれば症状が改善することもあります。特に肘頭タイプや内側タイプでは手術をしなくても回復することが多く、比較的病後の経過も良好です。しかし外側タイプは病後の経過が思わしくなく、将来的には投球を制限してポジションを変えたり、野球を止めなくてはならない場合もあります。手術をすれば野球に復帰する可能性も残されていますが、症状が進行してしまった場合にはやはり復帰することは困難でしょう。   

野球肘を予防するためには、まず正しい投球フォームを身に付けることが必要になります。肩の障害についても同じことが言えますが、肘の障害を肘だけの問題とせず、まずは全体の投球フォームを検証しなければなりません。体全体ではなく手だけを使って投げる、いわゆる手投げの状態であったために、野球肘になってしまった人も多くみられます。下半身がしっかりしていないために手投げになり、結果的に肘に負担をかけてしまうのです。投球のバランスが悪い場合には、下半身の強化やバランスを調整するトレーニングを、日々の練習メニューの中に組み込んでいく必要があるでしょう。




スポーツドクターコラムは整形外科医師 寛田 司スポーツ医療スポーツ障害症状治療について分りやすく解説します。


飛翔会の整形外科クリニック


スポーツ支援活動実績 物販事業