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スポーツドクターコラム

No.42「梨状筋症候群と診断する前に腰椎椎間板ヘルニアを疑え」

2007/02/10

梨状筋症候群



梨状筋症候群は、臀部にある洋梨の形をした梨状筋が、坐骨神経を圧迫している神経障害のことを言います。下肢の運動により外旋筋群が疲労し、慢性的に柔軟性を欠いていることなどが原因となって、梨状筋が坐骨神経を圧迫してしびれや鈍痛を引き起こすのです。

この障害は、一般的にスポーツ選手にみられることが多いとされています。特にランニングなどで股関節の屈伸を繰り返すスポーツでは、坐骨神経を摩擦し圧迫することが多いため、神経炎になりやすいのです。スポーツ選手は日頃から体を鍛えており、筋肉そのものが大きいことも圧迫の一因と言えるでしょう。

また、坐骨神経の形状が障害の原因となっていることもあります。坐骨神経は通常、骨盤内から後方臀部に出るとき梨状筋の下を通りますが、中には坐骨神経の一部が梨状筋の間を貫いていたり、上と下を挟んで通っている人もいます。このような場合は、筋の緊張によって神経がより圧迫されやすくなるのです。

梨状筋症候群を簡単に診断する方法として、以下のようなテストがあります。
(1)膝を伸ばしたままで足を真っ直ぐ、あるいは内側に上げたときに、痛みやしびれが出る。
(2)足を外旋させて上げたときは、梨状筋が緩んでいるため痛みなどの症状が消える。
このような症状がみられた場合には、梨状筋症候群を疑うことができます。
ただ、ここで気を付けなければならないのは、梨状筋症候群はまれな障害である、ということです。整形外科の専門医以外で梨状筋症候群と診断されても、実際は腰椎椎間板ヘルニアが痛みの原因であった例が、過去に何度もありました。坐骨神経痛の原因のほとんどがヘルニア、と言われているように、腰痛の所見がないからといって梨状筋症候群を判断することはできません。ヘルニアでも腰に痛みを感じないこともあるため、早急な診断は禁物です。先に挙げたテストも高い検査結果を得られるわけではありません。必ず整形外科の専門医を受診し、そこでMRIでヘルニアが見つからなかった場合に初めて、梨状筋症候群として治療を行いましょう。

治療方法としては、筋のストレッチと慢性炎症を抑えることが効果的です。内転筋の硬さが梨状筋に影響を及ぼしているときは、股関節周りの外旋筋の緊張をほぐすようにします。また坐骨神経の形状が痛みの要因となっている場合は、手術を行って筋肉を切断することも考えられます。




スポーツドクターコラムは整形外科医師 寛田 司スポーツ医療スポーツ障害症状治療について分りやすく解説します。

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