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スポーツドクターコラム

No.55「成長期の障害が引き起こす変形性肘関節症」

2008/03/10

変形性肘関節症



変形性肘関節症は、肘関節の軟骨がすり減り、骨が変形する疾患です。一般的には年を取った方に多くみられ、老化が主な原因とされています。


ただスポーツ選手に関してはこの限りではありません。野球やラケット競技などで成長期に肘を負傷しながらも、適切な初期治療を行っていなかった選手に、同じ症状がよくみられます。

小児のとき症状がなかった選手に生じることもありますが、割合としては圧倒的に成長期の故障が原因である方が多いと言えるでしょう。


骨が未発達な小中学生は、骨端線や骨端核といった骨の成長を担う部分を損傷することが多々あります。成長期は靱帯よりも骨が弱いため、投球動作などで靱帯が引っ張られると、靱帯に付着している骨の方が痛んでしまうのです。また投球動作中に骨と骨そのものがぶつかることで、成長軟骨を損傷するケースもあります。


変形性肘関節症は、この故障をしっかりと治療していなかったり、発見できずにそのまま大人の骨に成長してしまうために起こることがほとんどです。変形したまま骨が硬くなって骨棘や関節遊離体になると、重度の場合は肘の伸展や屈曲、回内、回外が困難になることもあります。


成長期の障害は、大人になって別の障害を引き起こす可能性があるため、細心の注意を払って早期治療することが大切です。将来を考えれば、プロ選手だけではなく、成長期の選手にもメディカルチェックを実施することを考えるべきでしょう。


治療としては、関節が動かない場合、まず関節内にある遊離体を除去したり、骨棘を削ることが必要になります。以前は関節を大きく切開して手術を行っていましたが、今では内視鏡を用いる方法が一般的です。


また骨片が小さいときは関節の中にヒアルロン酸を注入して、リハビリをしながらプレーを続けて様子を見ることもあります。ただ経過をみて症状が思うように改善しないのであれば、手術を選択するべきでしょう。


損傷の程度が大きく、骨と表面の軟骨が削れている場合は、その欠損した部分を補充する手術が必要になります。術法としては従来、膝から骨軟骨柱を移植するやり方を行ってきました。さらに最近では、広島大学で盛んに行われているような培養した軟骨を移植する方法も開発されています。


この他にも、医学の進歩により今は様々な手術方法が用いられるようになりました。肘が変形して運動が困難になっている方は、専門医を受診して自分にあった治療法を選択することをお勧めします。そのとき診断には、レントゲンだけでなくMRIが有効であることは言うまでもありません。






スポーツドクターコラムは整形外科医師 寛田 司スポーツ医療スポーツ障害症状治療について分りやすく解説します。

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