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スポーツドクターコラム

No.57「度重なる捻挫は骨軟骨損傷(離断性骨軟骨炎)に注意」

2008/05/10

骨軟骨損傷

(離断性骨軟骨炎)



足関節の骨軟骨損傷は、度重なる捻挫や、毎日の過酷なトレーニングの繰り返しなどによって起こります。足関節の捻挫や外側靱帯損傷に合併する例が多く、受傷後2ヵ月以上経過しても疼痛が持続していたり、不安定性を有しているときは注意しなければなりません。主に距骨(踵の上方にあり、下腿の骨と連結して足関節を形成している骨)の前外側部か後内側部に発症し、重度の場合は骨から軟骨が完全に剥がれて、関節内遊離体が生じることもあります。

この障害は、スポーツ選手や若年層に多々みられるのが特徴です。その理由としては、足関節軟骨の特性が大きく関わっていると言えるでしょう。足関節は膝よりも接触面積が少なく、厚さも薄いため、運動による負荷がかかりやすい状況にあります。また加齢による変性変化が生じやすい膝に対し、足関節はほとんど影響がありません。よって同じ骨軟骨障害でも、高齢者に多い膝とは発症起因も若干異なります。

距骨骨軟骨損傷の進行度は、
①軟骨下骨の微小骨折
②骨軟骨片の部分剥離
③骨軟骨片が完全剥離、もしくは剥離部が残存している状態
④骨軟骨片が欠落した状態
の4段階に分類できます。ただ診断を行うとき、レントゲンを撮影しただけでは、①のような微小な障害を発見することはできません。
その点MRIでは、関節鏡で直接観察できない症状まで診断できる利点があります。また近年は、脂肪抑制MRIなどによって、より鋭敏に病変を検出できるようになってきました。

治療法としては、まず保存療法が挙げられます。杖や足底板作成による負荷の減免やギプス固定を行い、しっかりと経過を観察しましょう。進行度が①程度であれば、この方法でも十分にスポーツ復帰は可能です。しかし進行度が②以上で症状が回復しないようであれば、手術の適用も考えなければなりません。

手術療法の中で最もよく行われているのは、骨軟骨片固定術です。最近では関節鏡(内視鏡)を用い、自分の骨で作った釘や吸収ピンで、剥離しかけた骨軟骨片を固定します。ただ病変部が距骨の内側に存在する場合は、部位が他の骨との間に隠れているため、骨に穴を通したりして患部まで到達し、ピンを打っていくことも必要になります。

また最近では、組織工学的手法を用いた関節軟骨の再生も行われるようになってきました。軟骨細胞を自家培養し、それを移植するのです。この方法は従来、膝の骨軟骨損傷で用いられていましたが、今では足関節にも応用されています。

術後は良好な関節軟骨の再生を促すため、他の合併損傷がなければ外固定を行わず、早期からの運動が可能です。ジョギングなどの軽い運動は術後3ヵ月から始め、スポーツ復帰は6ヵ月後が目安となります。




スポーツドクターコラムは整形外科医師 寛田 司スポーツ医療スポーツ障害症状治療について分りやすく解説します。

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