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スポーツドクターコラム
No.64「強い固定が大事な鎖骨骨折」
2009/01/10
鎖骨骨折
2026/02/03 Q&A追記 鎖骨は腕と身体の骨を連結する役割があり、骨折する頻度が高い骨と言えます。鎖骨はSの字型で、断面は中央部が丸く両端部は三角形に近い形になっています。太さは外側にかけて細くなっており、丸から三角形へ移行する部分が脆弱部位であり、鎖骨骨折のほとんどはその部分が折れてしまいます。 鎖骨骨折は主にサッカーやラグビー、柔道などのコンタクトスポーツにおいて、強い衝撃を受けて発症することが一般的です。また、転倒して手や腕を強く地面に打ちつけた際に、鎖骨に急激な負荷がかかり骨折することもあります。症状としては衝撃後に激しい痛みを感じたり、外見から変形が見られます。レントゲン検査で判断できますが見た目でも症状が分かりやすいので、違和感を覚えた際には早めに受診することをお勧めします。 治療方法は一般的には保存療法で充分治すことができ、その際に重要になってくるのが年齢です。若年層には骨の成長を促進する骨端線が残っており、成長軟骨があるため自家矯正能力に非常に長けています。折れた骨が徐々に矯正され元通りに治っていくので、よほど骨折部分が離れている場合を除いて、手術の必要はありません。 一方、歳を重ねるほど骨の形成に時間はかかりますが、第三骨片を伴うような複雑骨折でない場合であれば手術をしなくても骨癒合は可能です。保存療法を行う際の固定方法でお勧めするのは、筒状の包帯の中に綿を入れ両肩に八の字で巻く包帯固定や、製品化されているクラビクルバンドです。骨折部分の安静保持ができ、さらにある程度骨折が治ったら取り外しが可能で日常生活に支障をきたすことが少ないため、肌に直接当たるギプス固定よりも良い方法と言えます。 ただ、早期復帰を必要とするスポーツ選手や、骨が互い違いになったり複雑骨折をしていた場合には手術を選択することもあります。骨折部を繋ぎ合わせ太い金属を入れ、強い固定を施すプレート固定術を行うのが最も良い方法でしょう。 固定期間は骨折の程度にもよりますが、4~6週間が目安となります。スポーツ選手は競技にできるだけ早く復帰することが求められますが、強固なプレート固定さえ施されていれば、早期に患部を動かしリハビリを開始することが可能です。治療の際に最も大切なことは、鎖骨を正確な解剖の位置に戻すことです。正確な固定を行わず、骨が元の位置に戻らなければ肩甲骨、脊髄、首、そして全身にまで悪影響を及ぼします。 例えば、野球選手の場合では骨の変形によって肩甲骨が前にズレてしまうと、まともに投球することができなくなります。治療の際には医師と確認を取りながら慎重にリハビリに取り組みましょう。 スポーツドクターコラムは整形外科医師 寛田クリニック院長 寛田 司がスポーツ医療、スポーツ障害の症状、治療について分りやすく解説します。よくあるご質問(Q&A)
Q1. 鎖骨骨折は、必ず手術が必要になりますか?
A. 鎖骨骨折の多くは、保存療法(手術を行わない治療)で十分に治すことができます。 特に若年者では骨の自己矯正能力が高く、骨折部が自然に整って治癒するケースが少なくありません。 ただし、骨のずれが大きい場合や、早期の競技復帰が必要な場合などには、手術が検討されることがあります。
Q2. 保存療法では、なぜ「強い固定」が重要なのですか?
A. 鎖骨は腕と体をつなぐ重要な骨で、日常動作でも常に力が加わります。 そのため、固定が不十分だと骨がずれたまま治ってしまう(変形癒合)可能性があります。 八の字固定やクラビクルバンドなどを用いて、骨折部を安定させることが治療の基本となります。
Q3. 手術をすると、早くスポーツに復帰できますか?
A. プレート固定を行うことで、骨折部が安定し、比較的早い段階からリハビリを開始できるという利点があります。 ただし、「早く動かせること」と「安全に競技へ復帰できること」は別です。 競技復帰の時期は、骨癒合の状態や競技内容を考慮し、医師と相談しながら慎重に判断します。
Q4. プレート固定をした場合、どれくらいでプレートは外れますか?
A. プレートを外す時期は、骨癒合の状態や年齢、生活・競技レベルによって異なりますが、一般的には術後6か月~1年以降を目安に検討されることが多いです。 日常生活で支障がなく、痛みや違和感がなければ、必ずしも外す必要がない場合もあります。
Q5. プレートを外すときは、再度手術が必要ですか?
A. はい。プレートを外す場合は、再度手術(抜釘術)が必要になります。 ただし、骨折を固定するための手術と比べると、身体への負担は比較的少ないことが一般的です。 抜釘を行うかどうかは、痛みや違和感、競技復帰の必要性などを考慮して判断します。
Q6. 鎖骨骨折のプレートにはどのような素材があり、選ぶことはできますか?
A. 鎖骨骨折のプレートには、主にチタン製やステンレス製などの金属素材が用いられます。 現在は、軽量で体へのなじみがよく、金属アレルギーが起こしにくいチタン製プレートが選択されることが多くなっています。
骨の治り方そのものに大きな差が出ることは一般的にはありませんが、重さ・違和感の出やすさ・将来的な抜釘のしやすさなど、生活への影響に違いが出ることがあります。 プレートの素材や固定方法は、骨折の状態や体格、活動レベルに応じて医師が総合的に判断しますが、治療前に相談することは可能です。
Q7. 金属アレルギーがありますが、プレート固定はできますか?また、金属を使わない素材はありますか?
A. 金属アレルギーがある場合でも、すべてのプレート固定ができないわけではありません。 鎖骨骨折の手術では、金属アレルギーを起こしにくいチタン製プレートが選択されることが多く、症状や既往によっては使用可能なケースがあります。
また、金属を使用しない非金属素材のプレート(高分子材料など)が用いられることもありますが、鎖骨は強い力がかかる部位であるため、 現在の標準的な治療では強度と実績のあるチタン製プレートが主流です。
過去に金属で皮膚症状が出たことがある場合や、金属アレルギーと診断されたことがある場合は、必ず事前に医師へ伝えてください。 必要に応じて、素材の選択だけでなく、保存療法を含めた治療方針全体を慎重に検討します。
Q8. 変形したまま治ると、どのような問題がありますか?
A. 鎖骨が正しい位置に戻らずに治ると、肩甲骨や肩の動きに影響を及ぼすことがあります。 特にスポーツ選手では、投球やタックルなどの動作に支障が出ることがあり、正確な位置での固定とリハビリが重要になります。
飛翔会の整形外科クリニック












