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スポーツドクターコラム

No.75「タナ障害は保存的治療を優先」

2009/12/10

タナ障害



ジャンプ動作の多い競技によく見られる症状ですが、膝の皿(膝蓋骨)の内側に引っ張られる感覚を覚え膝を動かすと痛みが出ることがあります。膝の内側と大腿骨の間にある滑膜ヒダ(俗称・タナ)の張り出している部分が膝蓋骨と大腿骨の間(膝蓋大腿関節)に挟み込まれ、膝を動かしたときに皿の内側に引っかかりを感じ痛みが生じるのです。これをタナ障害と言い、膝に慢性的に負担をかけることで、タナが厚くなったり硬くなったりすることで挟み込まれて症状を引き起こします。

タナは生まれてから退化してなくなるものですが、胎生期では全ての人にあり、生後も正常の人の約半数が持っています。そのため、全くスポーツをしない人がタナ障害の症状を引き起こしても珍しいことではありません。タナは関節鏡所見により4つの型に分類されます。まず、内壁が索状にやや盛り上がっているA型、膜状で幅が狭く大腿骨内側顆を覆うまで到っていないB型。この2つの型の人がタナ障害を起こす例は極めて稀です。しかし、厚く広くなったタナが大腿骨内側顆前面を覆うC型や穴が空いて遊離縁の一部が索状になっているD型の人は症状を起こしやすいと言えるでしょう。タナが厚く弾力性を失い硬くなり、膝蓋大腿関節に嵌入(かんにゅう)したり内側大腿骨内顆部をこすったりすることでタナと接する上下の軟骨などに二次性変形が見られます。

大腿四頭筋がストレッチ不足になっていることが主因と言えますが、先天的に膝蓋骨の形の悪い人や膝蓋腱が長い人(膝蓋骨高位)も症状を引き起こす可能性が高いと言えます。引っかかりや痛みが生じた状態を長期間放置していると、安静時や起立時でさえも重苦しさが残り疼痛が持続します。そこまで放っておくと、競技パフォーマンスにも支障を来します。 ただ、膝の内側が痛むときは必ずしもタナ障害だとは言い切れません。痛みの原因がタナではなく膝蓋骨や軟骨などに見られることも往々にしてあります。訴える症状とタナとの関連性を十分に取捨していくことが肝要。その点からも診断では必ずMRI検査を受けましょう。 

ただ、ほとんどの場合、保存的療法で軽快に向かいます。タナ障害で手術に至る人は少ないようです。まずは疼痛を来す運動を回避し、大腿四頭筋の強化やストレッチをすること。また、痛み止めの服用や温熱療法(熱感があるときは冷却療法)を施し、それでも痛みが引かないときには関節内にステロイド注射を打ち様子を見ます。これらの対処でも改善されない場合や物理的にタナが大きくて引っかかりが強く膝が伸びない場合は他の部位に影響を及ぼすこともあるので手術療法を選択します。ただ、あくまでも保存療法が最善の方法ですので、安易に手術をすることは避けてください。




スポーツドクターコラムは整形外科医師 寛田 司スポーツ医療スポーツ障害症状治療について分りやすく解説します。

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