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スポーツドクターコラム

第二期 VOL.7「若年層に多い、腰の疲労骨折」

2012/07/07

腰の疲労骨折

PDF版はコチラ 2026/02/10 Q&A追記

日常生活で腰の痛みに悩んでいらっしゃる方も多いのではないでしょうか。スポーツ選手にとっても腰のケガは膝、肩と並び多いケガと言えます。今回は腰の疲労骨折についてお話します。  腰の疲労骨折は腰椎分離症の前の段階と言われています。発生原因については、これまで腰を捻る動作により起こるとされていました。しかし、最新の動作解析により、腰を反らす動作やジャンプ時の着地動作に腰に過度の応力が掛かり痛みを発することが分かってきました。  椎弓とは椎体の両側から後方に出る端の部分で、リング上の構造をしています。構造上細く脆弱なため、強い応力が掛かると疲労骨折を招き、進行すると椎体に入った亀裂が分離するのです。腰椎分離症になれば離れた骨をくっつけることは難しく腰痛の原因にもなりかねません。症状がさらに進行し腰椎分離すべり症になれば、神経を圧迫し足の痺れや麻痺の原因になることもあります。そういったリスクを軽減するためにも、早期発見、早期治療が完治の大原則と言えるでしょう。  このケガの特徴として挙げられることは、10代前半の成長期のスポーツ選手に多いことです。これは軟骨から骨に移行する途中の成長段階では、過度に掛かった応力を支えきれないためです。またより体を反らすことのできる体の柔らかい人に起こりやすいと思われるかもしれませんが、実際には体の硬い人に多く見られるケガです。背骨は首から腰にかけて24本の骨で構成されていますが、それぞれの骨の周りの筋肉が柔軟性を欠く場合、体を反らす際に支点となる腰に負担が掛かります。背骨周辺の筋肉だけでなくハムストリングや大腿部などに柔軟性がない場合も同様です。これを解消するためにはジャックナイフストレッチが有効でしょう。ジャックナイフストレッチとは下肢を含む体の後背部を伸ばすためのストレッチです。両手で両踵を保持し屈伸運動を行いますが、腹部と大腿部を接地させるため腰の負担が少なくリスクを軽減することができます。  検査の際にはMRIを用い、慎重に亀裂の有無を探していきます。MRI画像を見ると通常黒く映るところが、白く光っているため早期発見が可能となります。立体的な部位のためレントゲンでは見つからない細かい亀裂を発見できるのです。最後にCTで3次元的に患部を経過観察し完治したかどうかを確認する。これが一般的な診察の流れとなるでしょう。  治療にはコルセットを用い、腰を後ろに反らさないようにすることが大切です。全治は一般的に2ヵ月から3ヵ月と言われていますが、その間の運動については腰にストレスの掛からない程度なら行うことができます。場合によっては走ることもできますし、サッカーであればインサイドキックなら可能でしょう。  少しでも亀裂のある状態で競技を再開すると新たな亀裂を生む原因となりますし、その辺りは慎重な判断が必要です。腰は体を動かすためには絶対必要な部位ですし、一生使わなければなりません。繰り返しになりますが、早期発見、早期治療が慢性的な腰痛を防ぐカギとなるのです。 スポーツドクターコラムは整形外科医師寛田クリニック院長 寛田 司がスポーツ医療、スポーツ障害の症状、治療について分りやすく解説します。

よくあるご質問(Q&A)

Q1. 腰の疲労骨折とは、どのようなケガですか?なぜ注意が必要なのですか?

A. 腰の疲労骨折とは、腰椎の後方にある「椎弓」と呼ばれる部分に、繰り返しの負荷が加わることで生じる微細な亀裂(疲労骨折)です。 この状態は腰椎分離症の前段階と考えられており、早期に発見して適切に対応すれば、骨が癒合して治癒する可能性があります。

一方で、気づかずに運動を続けてしまうと、亀裂が進行して完全な分離症となり、骨が離れたまま残ってしまうことがあります。 そのため、成長期の腰痛では「一時的な疲れ」と軽視せず、注意深い評価が必要です。

Q2. 腰が少し痛いだけですが、様子を見ても大丈夫でしょうか?

A. 注意が必要です。腰の疲労骨折では、痛みが軽い・運動はできるという状態で始まることが少なくありません。

〈本人向けの注意〉
・「動けるから大丈夫」「そのうち治る」と考えて運動を続けると、亀裂が広がることがあります。
・特に、腰を反らす動作やジャンプ後の着地で痛みが出る場合は要注意です。

〈保護者向けの注意〉
・成長期の子どもは、痛みを我慢したり、うまく症状を言葉にできないことがあります。
・練習後だけ腰を気にする、以前より動きが硬くなったと感じる場合は、早めの受診が勧められます。

痛みの強さだけで判断せず、「いつから」「どんな動きで」痛むのかを重視することが大切です。

Q3. 腰の疲労骨折は、どのように発見・診断されますか?レントゲンでは分からないのですか?

A. 初期の腰の疲労骨折は、レントゲン検査では写らないことが多いのが特徴です。 そのため、発見にはMRIが非常に重要となります。

〈検査のポイント〉
・MRI:骨にかかるストレス反応や微細な亀裂を早期に捉えることができます。
・CT:亀裂の状態を立体的に確認し、治癒過程の評価に用いられます。

「レントゲンで異常がない=問題なし」とは言えないため、症状や経過を踏まえた専門的な判断が必要です。

Q4. 放置するとどうなりますか?分離症やすべり症に進行することはありますか?

A. はい、進行する可能性があります。 腰の疲労骨折を放置したり、十分な治療を行わないまま競技を続けると、腰椎分離症へ進行することがあります。

さらに分離が両側に及ぶと、椎体が前方へずれてしまう腰椎分離すべり症に発展することもあります。

〈進行した場合の特徴〉
・慢性的な腰痛が続く
・神経が圧迫され、足のしびれや力が入りにくくなる
・競技復帰や将来的なスポーツ継続に制限が出ることがある

こうしたリスクを避けるためにも、疲労骨折の段階で発見し、適切に治療することが最も重要です。

飛翔会の整形外科クリニック


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