トップページ > スポーツドクターコラム

スポーツドクターコラム

第二期 VOL.9「歩行を支える中足骨の役割」

2012/10/11

中足骨



PDF版はコチラ

これまで同頁で何度か取り上げてきた、中足骨の疲労骨折についてお話ししたいと思います。5本ある中足骨の中でも今回は、第2、第3中足骨にスポットを当てます。

まず、基本的なところから説明すると、中足骨とは足根骨と趾骨の間にある5本の管状骨のことです。足の内側から第1、第2と呼び名が変わります。5本のうち第1中足骨が最も短くて太く、第2中足骨が最も長い骨となります。以降は第3、第4、第5となるにつれて短くなっていきますが、これは足の指を想像していただければ分かっていただけるのではないでしょうか。また、中足骨はくるぶしからつま先に掛けて3つのパーツに分かれており、くるぶし側から中足骨体、中足骨底、中足骨頭と呼ばれています。

競技の特性によって痛める部位は変わってきますが、例えばサッカーでは第5中足骨を痛めるケースが多く、反対に第2、第3中足骨の骨折はほとんど見られません。これはサッカー選手にはO脚が多く、競技の特性上、足の外側に力が加わりやすいからです。第2、3中足骨の疲労骨折は、バレーボールやバスケットボール、走り高跳びなどジャンプを繰り返す競技、またはマラソンなど走る距離が長い競技に多いのが特徴です。そもそも中足骨の疲労骨折とは足のアーチが競技などによる反復性のある外力によって、負担が掛かり痛みを伴うものです。古くは足を高く上げ強く踏みならして行進する軍人にこの障害がよく見られたため、行軍骨折と呼ぶこともありました。

以上のように中足骨の疲労骨折は、オーバーユースにより発症するケースが多いのですが、他にも固すぎたり柔らかすぎたりする練習場や、筋力不足なども発生要因として挙げられます。

中足骨の疲労骨折は疲労骨折の中でも発生頻度が高く全体の35%もあります。これは脛骨(27%)や肋骨(12%)を抑え全体で一番多いパーセンテージです。その中でも第2、第3中足骨の疲労骨折が中でも一番多いのですが、それは第1中足骨が大きいため、その横にある第2、第3中足骨に負担が大きく掛かるためです。

反復性のある外力を受け続けることで痛みを生じることから、前回紹介した足底筋膜炎と発生要因は似ています。中足骨が弓で足底筋膜が弦とイメージしてもらえれば分かりやすいでしょうか。先月号も併せて読んでいただければ分かりやすいと思いますが、歩行または走行する際は、足の甲のアーチを保ちしっかりと踵から地面に付き、足先で地面を蹴るということができなければ骨、筋膜への負担は増します。扁平足の人は、衝撃を受けやすくケガに至るリスクが高まるのです。一般的に土踏まずが形成されるのは8歳頃とされていますが、それまでの生活習慣が足の形成に大きな影響を与えるます。昔と違い現代人は幼少期から靴を履くため、足の裏の筋肉を鍛える機会が絶対的に少なく、そのことから扁平足の人が増えており、扁平足は現代人特有の症状だと言うことができます。

近年、運動場に芝生を張り、園児を裸足で遊ばせる幼稚園が増えていますが、これは足の裏を鍛え、神経を刺激するため中足骨や足底筋膜の障害の予防に効果的です。




スポーツドクターコラムは整形外科医師 寛田クリニック院長 寛田 司スポーツ医療スポーツ障害症状治療について分りやすく解説します。

飛翔会の整形外科クリニック


スポーツ支援活動実績