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スポーツドクターコラム

No.21「脇腹痛は微妙なバランスの違いでも生じる」

2005/06/10

脇腹痛



野球選手によくみられる故障の一つに「脇腹痛」があります。
原因としてはバッティングの動き自体が、人間の体の構造にとってあまりいいものでないことが考えられるでしょう。スイングをするときは肩、首、腰などに、体の自然な動きに反したひねりが加えられます。さらに各部位の始動には、野球で『タメ』と言われている時間差も生じます。この『タメ』の微妙なバランスが崩れ、そのズレに筋肉が対応できなかったり、強く速く振る動作を繰り返すことによって、腹横筋、腹斜筋、広背筋などの筋損傷や断裂を引き起こしてしまうのです。
症状が悪化した場合は肋骨骨折や肋軟骨骨折、肋骨の骨膜炎、肋軟骨炎、胸椎の椎間板ヘルニアなどに至ることもありますから、注意しなければなりません。

脇腹痛を予防するためには、まず無理のない打撃フォームを作る必要があります。体に負担をかけるフォームを続けてしまうと、故障を治しても再発する可能性があるからです。    
しかし傷めてしまった場合でも早い段階で故障を見つけることができれば、その部分を安静にするだけで十分に回復します。傷めた箇所をあまり激しく動かさず、基礎体力を維持するためのトレーニングを積むようにすればよいのです。傷めたまま同じようにプレーを続けると、打撃フォームが崩れて他の部位を傷めてしまうこともあるため、早期発見とともに早期治療がとても大切です。    

もし発見した時点で既に骨折したり軟骨を損傷してしまっていた場合には、特殊な超音波の治療器を使って早期回復を促す方法があります。患部にその治療器を当てることによって、症状が軽くなる選手も多くみられています。    

最近ではどの球団でもキャンプ中に選手が脇腹を痛めたという話をよく聞きますが、今春のカープのキャンプではそういった選手はほとんど見当たりませんでした。トレーニングの中で故障をしないことも、やはり大切なことです。キャンプでベテランの選手が別メニューで調整しているのは、このような故障を避けるためでもあります。技術的にある程度のレベルに達しているベテランの選手は、鍛えることよりもいかに体のバランスが整った状態で試合に臨むかが重要なのです。故障を抱えてしまうと、たとえ技術はあったとしても思うようなフォームやタイミングで打つことが出来なくなってしまいます。別メニューの調整は、最大限の力を発揮するためにも必要なことだと言えるでしょう。




スポーツドクターコラムは整形外科医師 寛田 司スポーツ医療スポーツ障害症状治療について分りやすく解説します。


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