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スポーツドクターコラム
No.38「テニス肘はゴルフなど他競技の方が起きやすい」
2006/10/10
テニス肘
前腕を捻ったり手首を伸ばしたりするとき、肘の外側から前腕にかけて痛みが発生する障害を、テニス肘(上腕骨外上顆炎)と言います。物をつまむ動作や雑巾を絞る動作などで痛みを伴いますが、多くの場合、安静時の痛みはありません。
昔はその名の通り、テニスの愛好家にこの障害が数多くみられました。ラケットが木製で非常に重く、打ち方も手首を親指側に曲げた形で打つのが基本だったため、手首から肘にかけて、大きな負担がかかっていたからです。しかしその後ラケットが軽量化されて打ち方も変わってきたことで、今ではゴルフやボーリングなど、他競技でこの症状を訴える選手の方が多くなっています。
診断には以下のような方法があります。1、Thomsenテスト…指を曲げた状態にして手首を起こすように力を入れ、それを反対側の手で押さえる。2、Chairテスト…椅子をつかんで持ち上げるようにする。3、中指伸展テスト…指を真っ直ぐ伸ばす力に抵抗するように、中指を押さえる。
これらのテストを行ったとき、肘外側から前腕にかけて痛みが誘発された場合、テニス肘が疑われます。
治療は、まず局所の安静を保つことが大切です。物を持つときも肘に負担がかからないように、手首を伸展する持ち方は避けましょう。安静にして湿布や外用薬を使用すれば、多くの場合で数ヵ月以内に痛みが治まるはずです。それでも症状が回復しないときは、局所麻酔剤のステロイド注射を打つこともあります。
また前腕にバンドを巻いて、伸筋腱の骨についている部分が浮き上がって引っ張られるのを押さえる方法もあります。筋膜と同じ収縮率を有すると言われているキネシオテープRを使って、手背から肘の外側を越えた位置まで、少し手首を起こした伸展位でテーピングをするのも効果的です。
ある程度痛みが軽減されたあとは、伸筋腱を強化する必要があります。バンドやテーピングをしながら、手首を少しずつ鍛えましょう。また練習前後の伸筋腱のストレッチと、練習後のアイシングも欠かせません。ストレッチやアイシングは予防にもつながるため、日頃からしっかりと行うように心掛けましょう。
スポーツドクターコラムは整形外科医師 寛田クリニック院長 寛田 司がスポーツ医療、スポーツ障害の症状、治療について分りやすく解説します。