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スポーツドクターコラム

No.72「指の反復動作が原因で引き起こされる腱鞘炎」

2009/09/10

腱鞘炎



日常生活でも起こりうる腱鞘炎は、手や指を繰り返し使用することが主な発症原因です。

筋肉の収縮によって骨は動き関節が曲がりますが、指の場合は各関節にある腱鞘というトンネルを腱が通ることで曲げ伸ばされます。腱鞘炎は、指を曲げて物を掴んだり押したりする動作を繰り返すことで、腱鞘と腱が擦れて炎症を起して痛みが生じ運動障害を引き起す疾患です。

腱鞘炎には『ばね指』と『ドケルバン腱鞘炎』という2つの特徴的な疾患があります。 まずばね指は、親指に多く見られる疾患です。手には甲側に伸筋腱、手のひら側に屈筋腱という腱がありますが、指を曲げる腱は屈筋腱。手のひらを広げたときに甲の上から浮き上がって見える伸筋腱とは違い、屈筋腱は反らしても筋は浮き上がりません。手のひらの肉が厚いということもありますが、屈筋腱にある靭帯性腱鞘が腱の浮き上がりを抑えていると言えます。この屈筋腱と靭帯性腱鞘との間で炎症を起こすと、指の付け根に痛みや腫れ、熱感が生じます。さらに症状が進行すると、腱が肥大し腱鞘は肥厚して腱にひっかかりができるという悪循環に陥り通過障害を起こします。指を曲げた状態や伸ばした状態で動かなくなり、曲がった状態から自分で伸ばそうとすると、びっくり箱のバネのように指が伸びることからばね指(または弾発指)と呼ばれています。

ドケルバン腱鞘炎は、ゴルフやテニスなどのラケット競技や野球(バットスイング時)といった手首を反復して動かす競技によく見られます。手首の母指側にある腱の中で母指を伸ばす短母指伸筋腱、母指を広げる長母指外転筋腱という2本の腱が通る腱鞘で炎症を起こし、腫れと痛みを生じて腱の動きが悪くなります。フィンケルシュタインテスト(親指を入れて拳を作り、手首を小指側に曲げる)を行い痛みを感じるか否かで症状を確認することができます。

ばね指、ドケルバン腱鞘炎はいずれもアイシングによって炎症を和らげることができるので、症状が表れたらすぐに患部を冷やしましょう。無理をしたりそのまま放置してしまうと痛みが増すだけで痛みが引くことはありません。腱鞘の摩擦を和らげるためにもストレッチを行い、安静にすることも有効的です。痛み止めの注射をうったり湿布を貼ったりして安静にしていれば症状は回復に向かいます。もし、保存療法でも改善されないほど悪化している場合は、腱の引っかかりの一端となっている腱鞘の一部を切離する手術療法を行います。ごくわずかな切離で済み一般的な治療ですので、保存療法でも痛みが引かないときには、専門医に相談して手術を選択した方がいいでしょう。




スポーツドクターコラムは整形外科医師 寛田 司スポーツ医療スポーツ障害症状治療について分りやすく解説します。

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