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スポーツドクターコラム

No.13「長時間の移動ではエコノミークラス症候群に注意」

2004/08/10

エコノミークラス症候群



急性肺血栓塞栓症は、通称「エコノミークラス症候群」と言われ、血が固まってできる血栓が肺動脈に入って詰まってしまうことを言います。肺で空気の入れ換えができなくなって呼吸困難を起こし、重度の場合は死に至る場合もあります。飛行機に乗って狭い席で身動きがとれず、長時間同じ体勢で座ったままの状態だった人に症状が発生することが多いため、このように呼ばれるようになりました。   


血栓は血液の流れが悪くなって滞ることによってできます。静脈は筋肉がポンプの役割となって血液を流すため、体を長時間動かさなければ筋肉も動かず、血液が流れなくなって固まりやすくなるのです。なおかつ血の粘度が高い「どろどろ血」の状態の時は、血管の小さな傷に対しても血栓ができやすくなります。   


その血栓が血管の壁にくっついている状態では、血栓のある箇所は血液の流れる場所が狭くなり、交通渋滞のようにその部分の血液の流れが遅くなります。しかし血液はどんどん流れますから、その勢いに押されて血管の壁から剥がれてしまい、血液中に浮遊することがあるのです。この剥がれてしまった血栓(浮遊血栓)が肺に入ってしまった時に、呼吸困難を起こすことがあります。   


スポーツ選手は激しい運動を伴いますから、一般の人よりの肺の換気機能の低下が小さい場合でもこの症状が起こりやすいと言えます。サッカーの日本代表である高原直泰選手も普通に日常生活を送っていたのですが、練習を始めた途端に呼吸が苦しくなったことでこの症状が判明しました。 


予防法としては、移動中はリラックスした服装をすることが大切です。スーツなどで締め付けた洋服では血液の流れが悪くなってしまいます。また体を動かすことも必要です。立って歩くことができればいいのですが、そうでなくても足を曲げたり上げたりするなど動かし、筋肉を定期的に働かせた方がいいでしょう。血の粘度を下げるための水分補給は言うまでもありません。この症状は、飛行機に限らず、バスでの移動でも起こり得ますから、私達が指導するサンフレッチェの選手には、試合後バスに乗り込む際に必ずペットボトルの水を1本渡すようにしています。   


もしこの症状になってしまった場合の治療法として、抗凝固療法(血栓を作りにくくする方法)と血栓溶解療法(できてしまった血栓を溶かす方法)があります。外科的処置で治療する場合もありますが、一般的には点滴などを使って薬で治すことが多いようです。






スポーツドクターコラムは整形外科医師 寛田 司スポーツ医療スポーツ障害症状治療について分りやすく解説します。

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