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【蔵本達也のドイツ社会人留学リポート】Vol.5 ドイツのリーグ事情(4-6部について)

 スタッフブログ

2023/02/24

 ドイツに来て10ヶ月が経過しました。ドイツ語の聞き取りに関しては,ゆっくり話してもらえれば理解できるようになりましたが,話すことが難しく,正しい文法を使って話すことができません。できるだけ正しい文法を使って伝えようと心がけていますが,思った以上に複雑で,知っている単語を繋げて伝えていることの方が多いです。最近はなるべく翻訳機を使わないようにしています。
 プチ情報ですが,ケルンでは2/16現在カーニバルが開催されています。私も行ってきましたが,世界各国から多くの人が仮装をして楽しんでいました。ケルンのカーニバルはドイツ三大カーニバルのひとつと言われています。11月11日に始まり,2/22に終わります。お祭りのクライマックスは「汚れた木曜日」=2/16 から「灰の水曜日」=2/22 までの週です。「バラの月曜日」=2/20 には大規模なパレードが行われ,愉快な仮装をしたり,伝統的な民族衣装や仮面をつけてパーティーやパレードを楽しみます。この伝統の起源は冬を追い払う古い風習だそうです。
 
 さて今回は,私が施術やトレーニングをしている日本人サッカー選手からドイツのサッカー事情や私が行っているSCフォルトゥナ・ケルンの1軍について紹介しようと思います。※今回はドイツ6部のSPVG .PORZ 1919 E.V.に所属する選手(北原 渓選手)にインタビューをさせていただきました。彼の経歴はジェフユナイデッド市原・千葉ユース→日本体育大学→ドイツです。現在は膝の手術後のリハビリ中です。今後は怪我を治して5部,4部(プロ契約)とステップアップを目指している意識の高い選手の1人です。
 まず,私が見ているSCフォルトゥナ・ケルンについて説明します。私は現在,まだ2軍での仕事のため1軍とのコミュニティはありませんが,チームの1軍は4部リーグに所属しております。昔はブンデスリーガ2部で活躍していたチームですのでスタジアムも非常に大きく,地元の熱狂的なサポーターも多いです。基本的に4部リーグはセミプロと呼ばれ,プロ契約の選手も6,7割くらいいるのが現状です。現在リーグは中盤で,18チーム中8位となっています。15位までが下位リーグに降格,1位が上位リーグに昇格というシステムです。同じリーグには,ブンデスリーガ1部のFCケルンや板倉滉選手が所属するボルシアMG,吉田麻也選手が所属するFCシャルケ04,田中碧選手が所属するブンデスリーガ2部のフォルトゥナ・デュッセルドルフのそれぞれU-23のチームが所属しています。ドイツのリーグは,全てのリーグカテゴリーがFUSSBALL.DEというアプリで日本でも確認することができるので,ドイツ語ですが,少しでも興味がある方はチェックしてみてください。
 また、ドイツのサッカーシーズンは以下のような年間スケジュールになっています。
【7月より】        プレーシーズン(練習開始)スタート
【8月中旬~12月中旬まで】前期リーグ開催
【12月中旬〜1月中旬まで】冬休み
【1月中旬~2月中旬まで】 練習開始
【2月中旬より】     後期リーグ再開
【6月】         全日程が終了
 
 5部以下で活躍している日本人選手は多いですが,4部や3部に所属している選手は本当に数える程度と,厳しいリーグとなっています。私も5部や6部の選手のサポートもしていますが,やはり4部,3部でやりたいと言っている選手が多くいます。
 上位リーグでは,給料の面でかなり違いが出てくるそうです。あくまで選手やサッカーエージェントから聞いた話になりますので,参考程度に。3部の平均年俸は1400万円程度だそうです。4部リーグはセミプロリーグみたいな感じなので,プロ契約している選手としていない選手とでは大きな差があるそうです。基本的に4部になるとサッカーだけで生活していけると思われがちですが,それは古豪のチームだったり、凄く大きなチームだったり、またはお金のある小さなチームです。4部でも仕事をしながらサッカーをしているドイツ人は何人もいます。プロ契約になると就労ビザをチームからもらうことが可能です。就労ビザをもらう条件の1つとして,1100€程度(日本円で約16万円)を手取りで貰っているという証明が必要です。※これは地域によって違います。もちろんプロ契約以外の選手でも,お金に余裕があるチームに入る事ができれば生活することは可能です。4部リーグとはいえ,選手の活躍や監督・オーナーの信頼によってまちまちです。月数万円程度しかもらっていない選手もいれば,月50万〜100万円もらっている選手もいます。基本的に,固定給+家+車+プレミア給(勝利給,出場給,得点)の収入が得られ,6.7割の選手がサッカーだけで生活できるそうです。
 5部の選手でプロ契約している選手はほとんどいません。しかし,5部でもお金のあるクラブであれば,固定給+家の収入or車のレンタルを得ることができます(固定給約3万円〜20万円)。ただお金を持っていないクラブがほとんどなので,バイトをしながらサッカーをしている選手が多いのが現実です。6部の選手に関しても5部同様ですが,給料に関しては2,3万円+勝利給+電車賃いう契約がほとんどです。現実は厳しいのがドイツリーグですが,活躍できれば夢があるのもドイツリーグの特徴です。
 ドイツのサッカーについて色々と選手に情報をもらっていますが,5部や6部のチームでも年に数回上位のサッカーチームと公式戦(DFBポカール)をする機会があるそうです。日本でいう天皇杯のような試合です。そこで勝ち進めば上位リーグのチームと試合をすることができるそうですが,上位のチームと試合をして勝つことも多いそうです。
 ではなぜ4部以上のリーグでやることは難しいのかを聞いたところ,やはり言葉の問題があるそうです。アマチュアの日本人選手には通訳が付いていません。リーグが高くなれば,サッカーのチーム戦術も細かくなっていきます。もちろん,言葉の問題を出すのは言い訳でしかないようで,圧倒的なサッカースキルを持っている選手は試合で認められるとすぐに上のリーグにいけるそうです。圧倒的なアピールポイントがあるということが条件だそうで,ドイツ人よりも少しだけ上手い程度では,監督は使わないと判断することも多いと聞きました。逆にドイツ語が理解できるとどんどん使ってもらえるようになるそうです。ドイツ語を勉強してコミュニケーションを取って上のリーグを少しずつ目指すか,言葉の壁など関係ないくらいの圧倒的なサッカーセンスで上を目指すかはその人次第だと言います。結果が全ての世界なので,活躍できる選手は語学ができなくても選手や監督から気を遣ってもらえるそうです。もちろんそのような選手でも,コンディションが悪くパフォーマンスの質が落ちるようになると,プレーも良くない,喋れないからコミュニケーションも取れない選手と判断されてしまい,解雇になってしまうことが多いと言います。そのため,怪我をしてしまってからの対応も大切だと言いますが,怪我をしない身体作りがとても重要だと彼らは言います。サッカーに対して,自分自身の人生をかけて向き合っている彼らのために,私も誠心誠意尽くしていきたいと思います。

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SCフォルトゥナ・ケルンの一番仲の良い同僚のAlbert
彼は4月からSCフォルトゥナ・ケルンのトップチーム(4部)に昇格予定


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今回インタビューに協力してくれた北原渓選手
今後の活躍に期待です

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