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No.30「陸上選手に多い脛骨の疼痛シンスプリント」

 スポーツドクターコラム

2006/04/10

疼痛シンスプリント



陸上選手などに多くみられる下腿内側に位置する脛骨の疼痛を、シンスプリントと言います。これは主に脛骨過労性骨膜炎のことを指し、硬い地面の上での練習やオーバーユース、個々の体のつくりなどが原因と考えられています。足の指を曲げたり、足首を下や内側に曲げたりするときに使う筋肉に負担が生じて、脛骨の膜を引っ張り、炎症を起こすのです。治療をせずに放っておくと、疲労骨折につながる恐れもあります。

成長期の子供のシンスプリントは、特に注意しましょう。骨の組織の表面を覆っている骨膜は、骨の太さの成長に関わっています。この骨膜が炎症を起こすと過剰に反応して膨らみ、まだ骨が成長途中の子供が症状を繰り返すと成長障害や骨の変形につながってしまうのです。レントゲンで障害が発見されるのはかなり悪化したあとですから、その段階に至る前に早期治療を心掛けましょう。

シンスプリントの症状が見られた場合は、まず安静にしなければなりません。しかし痛みが激しくなければ、自転車や水泳など下腿に負担のかからない運動を行うことは可能です。安静にしながらも筋持久力などを維持することで、早期復帰もできます。ただ安静期間に選手の体の特性を見極め対処しなければ、治療が数ヵ月に渡って長引くこともありますから注意が必要です。

治療法としてはストレッチとアイシングが欠かせません。足の裏を見て土踏まずのアーチが落ち込んでいた場合は、インソール(靴の中敷き)の使用で痛みを軽減させたり、症状を改善することもできます。

例えばO脚の人が走るとき、足の裏は外側から地面に着いて内側に倒れ、つま先で蹴り上げる動きをします。このとき土踏まずのアーチが落ち込んでいると、足を内側に倒した際にアーチ部分にかかる負担が大きくなってしまうのです。しかしインソールを使用することによってアーチの落ち込みを防ぎ、体重のかかり方を分散させることができます。

インソールは障害の起こりやすいフォームを考慮し、個々の特性に合わせて作りましょう。股関節から足にかけての骨のつながりを見て、重心移動によって脛骨に負担のかかるような足の形をしている選手は、そのストレスを分散させることが、障害の予防にもなります。

また、インソールと同様にテーピングでアーチを引き上げることで、パフォーマンス向上などの効果も見込めます。




スポーツドクターコラムは整形外科医師 寛田クリニック院長 寛田 司スポーツ医療スポーツ障害症状治療について分りやすく解説します。

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