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スポーツドクターコラム
第二期 VOL.13「脳や目への影響に気を付けたい頭部骨折」
2013/01/25
頭部骨折
PDF版はコチラ 【2026年補足】 この記事は2013年公開時の内容をもとに掲載しています。本文は当時の記述を尊重しつつ、現在の医療情報として参考になるよう、記事末尾に2026年時点での補足とFAQを追記しています。 Jリーグの発足当時、足首やひざなどのケガとともに顔面骨折がよく見られました。現在では顔面骨折はあまり見られないことから、リーグ全体がまだ未熟で競技やレフェリングのレベルの低さがラフプレーを招き、負傷者を生み出していたと考えることが自然でしょう。 頭部骨折は顔面と頭蓋骨の2つに分けられます。頭蓋骨に比べ側頭部を含む顔面の骨は細く柔らかいため、折れやすい骨と言えるでしょう。頭蓋骨骨折で一番怖いのは、骨が陥没し出血することです。脳に直接のダメージがあれば、意識障害を伴い極めて危険な状態となります。11年にサンフレッチェ広島の水本裕貴選手が試合中に負傷したことを覚えている読者の方も多いのではないでしょうか。 顔面骨折はサッカーやラグビーなど激しいフィジカルコンタクトを伴う競技に多く見られます。鼻が曲がる、つぶれる、頬が陥没するといった具合に見た目の変化が大きいのが特徴です。鼻や目、口など多くの器官が集中する顔面は、骨折の治療はもちろんのこと、それらの器官をいかに守るかということに留意しなければなりません。顔面骨折で一番多い鼻骨骨折で言えば、鼻腔が狭くなることがあるので手術により複製しなければなりません。同じように眼窩骨折では物が二重に見える複視、頬骨の骨折による開口障害、上あご、下あごの骨折に伴う咬合障害などは、日常生活にも大きな影響を与えかねません。咬合障害を起こさないために、輪ゴムやワイヤーで長期間上あごと下あごを固定しますが、この期間は食物を口から摂取することができません。スープやゼリー状の物を鼻からすすることになるのですが、これがどれだけ辛いかは想像に難しくないでしょう。また、骨折の後遺症により表情に影響があれば、骨切りや骨移植、または人工骨などを用いて形態を改善する場合もあります。 数ある障害の中でも一番怖いのは眼球運動障害ではないでしょうか。眼球は周辺の7つの骨によって支えられていますが、眼窩壁は上壁が非常に硬いのに対し、下壁が薄いため外圧により骨折することがしばしばあります。下壁が骨折すると眼球そのものが下がり、さらには眼球を支える筋肉が骨の間に挟まるため眼球の動きが制限されてしまいます。これを眼球の上転障害と言います。物を見る場合、両目を使い焦点を合わせることによって1つの実像を認識します。先ほども触れましたが片目の調整機能に異常があれば正確に実像を把握できず、物体が二重に見えてしまうのです。 しかし、何よりも競技復帰への障害となるのが、精神的な不安をいかに取り除くかということです。頭部死球により打撃フォームを崩し成績を落とす野球選手も多くいますが、受傷者の心理的負担は人によって差はあるものの少なくありません。先のクラブW杯で来日しチェルシーのゴールを守ったチェフは、06年試合中に頭蓋骨骨折の重傷を負いました。回復して数年が経過していますが、現在でもヘッドギアを付けてプレーしています。頭部骨折は患部の治療だけではなく、精神的なケアが必要なことも特徴と言えるのではないでしょうか。 【2026年補足】 頭部や顔面の骨折では、骨折そのものだけでなく、脳・目・咬み合わせ・神経症状への影響をあわせて確認することが大切です。特に、頭部外傷では頭蓋骨骨折の有無だけでなく、脳振盪や意識障害、頭痛、吐き気、めまいなどの症状にも注意が必要です。顔面骨折では、複視、見えにくさ、口が開けにくい、かみ合わせの違和感、しびれなどが残ることがあり、早めの診察が重要になります。 また、スポーツ復帰は見た目の回復や痛みの軽減だけで判断せず、視機能、神経症状、日常生活への支障、競技中の不安の有無も含めて慎重に判断することが重要です。頭部や顔面を強く打った場合は自己判断せず、必要に応じて画像検査や専門的評価を受けることが勧められます。 スポーツドクターコラムは整形外科医師 寛田クリニック院長 寛田 司がスポーツ医療、スポーツ障害の症状、治療について分りやすく解説します。Q1. 頭を強く打って骨折しているかもしれない場合、まず何に注意すればよいですか?
A. 頭部や顔面を強く打った場合は、骨折の有無だけでなく、意識がもうろうとする、強い頭痛、吐き気、めまい、物が二重に見える、鼻血が止まりにくい、口が開けにくいなどの症状がないか注意が必要です。
頭部外傷では脳振盪や脳への影響を伴うこともあるため、
症状が軽く見えても早めの受診が大切です。
Q2. 顔面骨折では、見た目以外にどのような問題が起こりますか?
A. 顔面骨折では、腫れや変形だけでなく、鼻づまり、複視、頬や唇のしびれ、口が開けにくい、かみ合わせがずれるなどの症状が出ることがあります。
顔には目・鼻・口など日常生活に大きく関わる器官が集中しているため、
外見の変化だけでなく機能面の確認が重要です。
Q3. 眼窩骨折で物が二重に見えるのはなぜですか?
A. 眼窩骨折では、眼球を支える骨や周囲の組織に損傷が起こり、眼球の位置が下がったり、眼を動かす筋肉が骨折部にはさまったりすることがあります。
その結果、両目の動きがそろわず、物が二重に見える複視が起こることがあります。
複視がある場合は競技や日常生活にも大きく影響するため、早めの評価が重要です。
Q4. 鼻骨骨折はそのままでも治りますか?
A. 軽い打撲であれば経過観察となることもありますが、鼻骨骨折では変形や鼻づまりが残ることがあります。
腫れが強い時期は見分けにくいこともありますが、曲がりや鼻閉感がある場合には、適切な時期に整復などの治療を検討することがあります。
見た目だけでなく、呼吸のしやすさも大切な判断材料になります。
Q5. 頭部や顔面の骨折のあと、スポーツ復帰はいつ判断されますか?
A. スポーツ復帰は、骨の回復だけでなく、視機能、神経症状、痛み、かみ合わせ、接触プレーへの不安などを総合して判断します。
特に頭部外傷では、脳振盪の有無や頭痛、集中力低下、めまいなどが残っていないかも重要です。
競技種目や受傷部位によって復帰時期は異なるため、自己判断ではなく医師の評価を受けることが望まれます。
Q6. 頭部骨折や顔面骨折のあとに不安が強くなるのは珍しいことですか?
A. 珍しいことではありません。頭や顔のケガは、痛みや見た目の変化だけでなく、「また当たったらどうしよう」という恐怖や競技復帰への不安につながることがあります。
特に接触プレーのある競技では心理的な影響がパフォーマンスに残る場合もあるため、
身体の治療だけでなく精神的なケアも大切です。
Q7. 頭や顔を打ったあと、どのような症状があれば早めに医療機関を受診すべきですか?
A. 意識障害、強い頭痛、繰り返す吐き気、めまい、物が二重に見える、視界がぼやける、鼻や顔の変形、口が開けにくい、かみ合わせのずれ、しびれなどがある場合は早めの受診が勧められます。
頭部や顔面の外傷は外見だけでは重症度が分かりにくく、脳や目への影響を伴うことがあるため、
自己判断せず整形外科や救急医療機関で相談することが重要です。
飛翔会の整形外科クリニック












