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スポーツドクターコラム

No.31「腰椎分離症は必ずしも競技復帰を妨げる障害ではない」

2006/05/10

腰椎分離症



成長期の選手が慢性の腰痛を訴えた場合、まず疑われるのが腰椎分離症です。この障害は、腰椎の後方にある椎弓と呼ばれる骨が分離した状態のことを言います。椎弓の先端にある骨端線(骨の成長を担う軟骨)が、運動時の負荷によって成長していなかったり、分離したまま骨化しているのです。ただし成長期を過ぎた大人の分離症は、骨が骨化したあとに亀裂が入る、疲労骨折の可能性も考えられます。

分離症は完全に骨が分離している場合ならば、X線検査で容易に発見できます。初期段階ではMRIが有効です。ただ、検査の結果分離症が見つかったとしても、その選手に必ずしも自覚症状があるとは限りません。痛みを感じない場合もあります。Jリーグ某チームの平成13年度メディカルチェックでは、腰椎分離、もしくは腰椎すべり症(骨の分離が環状になっている椎弓の両側にみられ、椎体が前方へ移動する障害)は30%と高率に認められました。しかし、シーズン中に腰痛が原因で1ヵ月以上の長期間、スポーツ復帰が困難であった選手は存在しなかった、との報告もあります。ですから腰椎分離症は、自分でしっかりと調整しながらトレーニングを行えば、競技を続けることも可能な障害と言えます。

もちろん早期発見、早期治療は大切です。すべり症に発展すると神経が圧迫され、足に力が入らないなど、症状が悪化することも考えられます。以前は民間療法で治療を行って競技を続けたため、すべり症に発展した例も数多く見られました。ですから専門医で、できるだけ早く受診するよう心掛けましょう。

治療法は、まず痛みを軽減させるために局所の安静をはかる必要があります。この間、歩行が可能な選手はウォーキングをしたり、上半身の筋トレをすることも可能です。できるだけ体力の維持に努めましょう。

昔はギプスなどで固定し、長期に渡って競技を休止させていた時期もありました。しかし、例え安静にしていたとしても、必ずしも骨が癒合するとは限りません。分離部分の骨癒合が完成されていないにも関わらず、腰痛が消失する症例も、数多く示されています。安静が必要な期間は症例によって一定していませんが、腰椎分離症がスポーツ復帰を妨げる要因にはなりません。

この障害を引き起こす原因の1つが運動時に伴う回旋動作と考えられています。体幹の回旋に関わる筋肉の強化を考慮に入れながら、ストレッチやトレーニングを行い普段から予防することも大切です。




スポーツドクターコラムは整形外科医師 寛田 司スポーツ医療スポーツ障害症状治療について分りやすく解説します。

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