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スポーツドクターコラム

No.40「手にしびれを感じる胸郭出口症候群」

2006/12/10

胸郭出口症候群



胸郭出口症候群は、鎖骨をくぐって脇の下に行く血管や神経(腕神経叢)が何らかの形で圧迫され、同側の手に痛みやしびれ、脱力などを感じる障害です。重篤な場合は、手が腫れたり動かせなくなるなどの症状を引き起こすこともあります。競技別では野球やバレーボール、バドミントンなどのラケットを用いたスポーツで多くみられるようです。

この障害は、血管や神経を圧迫する部位や原因によって、以下の通り大きく4つに分けることができます。

  1. 頚肋症候群…第7頸椎から出ている横突起が通常よりも大きい、もしくは第1肋骨が鎖骨に近づいているなど、骨の奇形が圧迫の原因とされる場合。

  2. 過外転症候群…腕を上げて過外転したとき、小胸筋の緊張が圧迫の原因とされる場合。小胸筋が発達している人に起こりやすい。

  3. 斜角筋症候群…斜角筋の発達や外傷が圧迫の原因とされる場合。斜角筋は前、中、後と3つあり、前と中の間の部分で生じやすい。

  4. 肋鎖症候群…胸を張って肩を後下方へ下げる姿勢をとったとき、肋骨と鎖骨の間が狭くなることが圧迫の原因とされる場合。 


これらの症状は、簡単なテストを行うことである程度診断できます。両腕を肩の高さまで上げて肘関節を90度屈曲し、両手を他の人が持った状態で保持したとき、1分以内にしびれや痛みが発生した場合は、過外転症候群の可能性が高いでしょう。同じように両腕を上げて手を握ったり開いたりを繰り返したとき、3分以内に症状が誘発されれば陽性と考えられます。また、母指腹で斜角筋三角部を最長1分間圧迫したとき、押さえた箇所の圧痛以外にしびれなどの症状が生じた場合は斜角筋症候群が、肩を後ろに下げて胸を張った状態にし、1分以内に症状が表れた場合は、肋鎖症候群が疑われます。

検査では、まずレントゲンを撮ります。このとき頸椎や肋骨に変形が見つかった場合は、頚肋症候群と診断できます。さらに症状誘発姿位をとってMRIで神経の走行を、MRAで血管の走行を調べることで、他の症状も診断できるでしょう。

治療法としては、筋の緊張が障害の原因とされる場合、筋をほぐすリハビリをしたり、神経の栄養剤を服用するなどして様子をうかがいます。このとき、症状が出る姿位をとらないことも大切です。それでも回復しないときは、手術に至ることもあるでしょう。いずれにしても、前述したような症状がみられる人は整形外科で受診することをお勧めします。手先のしびれを感じたときは、しびれのある部分だけでなく、鎖骨付近の胸郭出口を調べることも重要です。




スポーツドクターコラムは整形外科医師 寛田 司スポーツ医療スポーツ障害症状治療について分りやすく解説します。

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