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スポーツドクターコラム
No.76「巻き爪は靴選びやケアが大切」
2010/01/10
巻き爪
爪が変形し、爪の片側あるいは両側が丸まって伸びて皮膚に陥入し痛みを生じる巻き爪は、足の親指に多く見られ、専門的には陥入爪と言われています。 発症原因は先天性のものなどさまざま。ひとつには、サイズの小さい靴や爪先の細い靴、ヒールが高い靴などを長時間履いて足先が圧迫されることが挙げられます。また、扁平足の人に多く見られる疾患です。土踏まずがあれば縦のアーチと横のアーチが接地時にクッションとなり足裏全体で体重を受けることができますが、扁平足の場合はクッションとなるアーチがないため親指にかかる負担が大きくなり巻き爪を引き起こします。
また、爪を丸く切ったり深く切り過ぎたりしても、周りの肉が爪の両端を圧迫するため巻き爪になる原因となります。爪を切る際は、爪先に合わせて両端から真ん中までできるだけ真っ直ぐ同じ長さに揃えるスクエアカットにしましょう。
巻き爪だけでは痛みを感じないこともあり、炎症や化膿といった症状はありません。ただ、人の足先は靴下や靴を履くため、汗や垢、ほこりなどで不潔になっており、そこに細菌が入ると腫れたり膿んだりする症状が表れます。さらに痛みを感じながらも、そのまま放置していると化膿が徐々に爪の裏側にまで広がり、潰瘍ができたり爪が割れるなど激痛を伴うこともあるので注意が必要です。
治療法としては局所を洗浄し清潔に保ち、抗生剤を外用したり薬を塗ったりテーピングを巻くことで改善を促します。それでも改善が見られない場合は、爪の端を約3~5ミリ短冊状に部分抜爪します。このとき直接的な原因となっている爪の一部を切るのではなく、爪の根本にあり皮膚の下にある爪母(爪を発達させる工場のようなところ)まで切除しなければいけません。
スポーツ選手にとっては、ここまで症状が進行すると競技にも影響してしまうため、日頃からのケアが大切です。爪はスクエアカットにして、足先は清潔に保ちましょう。ただ、たとえ充分なケアをしていても、症状が表れることがあります。そうなったときには巻き爪専用のグラスファイバーで矯正する方法もあります。ドイツ生まれの巻き爪専用器具は爪の表面に張るだけで、平らに伸ばす力が働くため爪の形を矯正してくれます。
予防策としては靴選びも非常に重要になります。親指が中に寄せられるような靴はフィットしているとは言えません。爪先に指を少し動かせるくらい余裕があるのが適切なサイズです。また、インソールを入れるなど足の裏に負担がかからないように工夫することも大事になってきます。足裏のアーチを保つことは、巻き爪の予防だけでなく競技パフォーマンスの向上にも繋がります。
スポーツドクターコラムは整形外科医師 寛田クリニック院長 寛田 司がスポーツ医療、スポーツ障害の症状、治療について分りやすく解説します。