スポーツドクターコラム
第二期 vol.5「正しいスパイクの選び方」
2012/04/26
2026/06/19記事更新
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新たにスポーツを始める人にとって、最初の難題が壁一面に陳列されたスパイクからお気に入りを一足見つけることではないしょうか。プロ、アマチュアを問わず、スパイクの選び方1つでケガのリスクは減り、パフォーマンスは向上します。野球やサッカーの場合、スパイクの選択を迷わせる大きな要因は、プレーする場所によってグラウンドの表面が違うことです。土か芝に大きくは分けられると思いますが、芝にも人工芝、天然芝とありグラウンドに合わせてスパイクの選択は大きく変わってきます。選択を誤れば足首やひざ、腰などに大きな負担を掛けることになるのです。
【2026年注訳】現在は、天然芝、人工芝、土、硬いグラウンドなどに合わせて、スパイクのポイント形状や長さ、ソールの硬さが細かく分けられています。地面に対してグリップが強すぎると、足首や膝、腰に過度なねじれの力がかかることがあります。プレーするグラウンドに合ったタイプを選ぶことが大切です。
スパイクを履く足についてもう少し詳しく話すと、足は足首にある前後左右の筋肉で釣られているマリオネットのようなものです。地面と接地する足が不安定な状態であれば、体や筋に負荷が掛かるのは当然です。足首に過度の負荷が掛かれば、アキレス腱の炎症や、足首の関節の炎症などを起こしやすくなります。野球のスパイクには踵の部分がローカット、ミドルカット、ハイカットの3種類があります。足首の動きを制限したい選手、ローカットでは足首に過度の負担が掛かる選手はハイカットを選ぶことが多く、患部の状態が良くなればローカットのスパイクに替えることはよくあります。もちろん中には足首の保護のためにハイカットを選ぶ選手もいます。
【2026年注訳】足首の保護は、ローカット・ミドルカット・ハイカットという高さだけで決まるものではありません。踵の安定性、靴全体のフィット感、足首の既往歴、必要に応じたテーピングやサポーターの使用なども含めて考える必要があります。
サッカーについても少しお話させて下さい。一般的に市販されているものは芝用の物が多く、硬い土の上で使用するのに適しているとは言えません。サッカーの場合、スピードの変化や急なターンが多く、硬い土での長時間のスパイクの使用は特に負担が掛かります。付け加えると広島市内は三角州でできており、火山灰が降り積もった関東などと比べ非常に土が硬い土地として知られています。柔らかい地面をしっかり噛むために作られた芝用のスパイクを硬い土の上で履くことで、それを原因とした中足骨の骨折もよく見られる症例です。
【2026年注訳】現在は、天然芝用、人工芝用、土・硬いグラウンド用など、競技やメーカーによってさまざまな分類があります。硬い土のグラウンドで、ポイントが長い・硬い・突き上げが強いスパイクを使うと、足底や中足骨、足首、膝に負担がかかりやすくなります。土の硬さや人工芝の種類に合わせて選ぶことが重要です。
しかし、実際にはアマチュアの選手がグラウンドの状態によってスパイクを履き替えることは経済的な理由もあり難しいでしょう。そこで私がお薦めしているのは、インソール(中敷き)を作っておくことです。市販のスパイクのインソールは多くの人に合うように作られています。しかし、O脚やX脚の人がいれば体重が前掛りの人や土踏まずがない人もいますし、人の足の形は千差万別です。それらの人が全く同じスパイクを履いて、相当量の運動を行なえばケガの温床になるということは想像いただけると思います。自分の足型を取り、インソールを替えるだけでも未然に防ぐことのできるケガもあるはずです。
【2026年注訳】インソールは、足の形や荷重の偏りを補い、スパイク内で足を安定させる方法の一つです。ただし、インソールだけですべてのケガを防げるわけではありません。靴のサイズ、踵の固定性、グラウンドに合ったソール選び、フォームや練習量の調整と合わせて考えることが大切です。
最後に良いスパイク選びのポイントとしては、まずしっかりと紐を締め試し履きをすることです。その際に指の付け根に当たるMP関節のところできちんとスパイクが曲がるか確認して下さい。その上で指が少し動くこと、踵がずれないことを確かめることも重要です。中高校生は特に、メーカーやデザインで選びがちですが、合わない靴はケガをするだけです。良いパフォーマンスをするためと理解し、正しいスパイク選びをしましょう。
スポーツドクターコラムは整形外科医師 寛田クリニック院長 寛田 司がスポーツ医療、スポーツ障害の症状、治療について分りやすく解説します。
よくあるご質問(Q&A)
Q1. スパイク選びで一番大切なことは何ですか?
A. 一番大切なのは、プレーするグラウンドに合っていることと、自分の足に合っていることです。 デザインやメーカーで選びたくなることもありますが、グラウンドに合わないスパイクや足に合わないスパイクを使うと、足首、膝、腰などに余分な負担がかかることがあります。
スパイクを選ぶときは、土、天然芝、人工芝など、どのような場所で使うことが多いのかを確認したうえで、サイズ、踵の安定性、足指の動きやすさ、足裏への突き上げ感などを確認することが大切です。
Q2. 土、天然芝、人工芝でスパイクを変える必要がありますか?
A. できれば、グラウンドの種類に合わせてスパイクを選ぶことが望ましいです。 天然芝、人工芝、土のグラウンドでは、地面の硬さや滑りやすさ、スパイクのポイントが地面に食い込む程度が異なります。
グリップが弱すぎると滑りやすくなりますが、逆にグリップが強すぎると、足が地面に固定されすぎて、足首や膝にねじれの負担がかかることがあります。 特に硬い土のグラウンドでは、ポイントの長さや硬さ、足裏への突き上げ感に注意が必要です。
Q3. 硬い土のグラウンドで芝用スパイクを使うと、なぜ足に負担がかかるのですか?
A. 芝用のスパイクは、柔らかい地面や芝をしっかり捉えるために作られているものがあります。 これを硬い土のグラウンドで使うと、ポイントが十分に沈み込まず、足裏への突き上げが強くなったり、足が不自然に固定されたりすることがあります。
その結果、足底、中足骨、足首、膝などに負担がかかりやすくなります。 特に長時間の練習や、ダッシュ、ストップ、方向転換を繰り返す競技では、スパイクと地面の相性が障害の原因になることがあります。
Q4. ハイカットのスパイクは足首のケガ予防になりますか?
A. ハイカットのスパイクは、足首の動きをある程度制限し、安心感を得やすい場合があります。 ただし、ハイカットを履けば必ず足首のケガを防げるというわけではありません。
足首の保護には、靴の高さだけでなく、踵がしっかり固定されているか、靴の中で足がずれないか、足首の既往歴があるか、必要に応じてテーピングやサポーターを使うか、といった点も関係します。 足首に不安がある場合は、スパイクの形だけで判断せず、状態に合わせて選ぶことが大切です。
Q5. インソールは作った方がよいですか?
A. 足の形や荷重のかかり方に特徴がある場合、インソールが役立つことがあります。 O脚、X脚、偏平足、土踏まずの高さ、体重のかかり方などは人によって異なります。 市販のスパイクに入っている中敷きは、多くの人に合うように作られているため、すべての人の足に最適とは限りません。
インソールによって足がスパイクの中で安定し、足裏や膝、腰への負担を軽くできる場合があります。 特に、足関節の痛みや不安定感に、足の形、足首の傾き、荷重の偏りなどが関係していると考えられる場合には、医療機関で足底装具、いわゆる医療用インソールの作製を検討することがあります。
医療用インソールは、単に市販の中敷きを入れるものではなく、診察で足や足関節の状態を確認したうえで、必要に応じて処方される装具の一つです。 足首の痛みが続く場合、同じ部位の痛みを繰り返す場合、スパイクを替えても症状が改善しない場合は、足底装具の適応も含めて相談できることがあります。
ただし、インソールだけですべてのケガを防げるわけではありません。 スパイクのサイズ、踵の固定性、グラウンドに合ったソール選び、フォームや練習量の調整と合わせて考えることが大切です。
Q6. 試し履きではどこを確認すればよいですか?
A. 試し履きでは、必ず紐をしっかり締めた状態で確認することが大切です。 足を入れただけではなく、実際にプレーするときに近い状態で履いてみる必要があります。
確認したいポイントは、足指が少し動く余裕があるか、踵が浮いたりずれたりしないか、足の甲や小指側が強く圧迫されないか、指の付け根にあたるMP関節の部分で自然に曲がるか、という点です。 サイズが大きすぎても小さすぎても、足の中で余分な動きや圧迫が起こり、ケガにつながることがあります。
Q7. 成長期の選手がスパイクを選ぶときに注意することはありますか?
A. 成長期の選手は、足のサイズや骨格が変化しやすいため、定期的にサイズやフィット感を確認することが大切です。 「すぐ大きくなるから」と大きめのスパイクを選びすぎると、靴の中で足がずれ、足首や膝に余分な負担がかかることがあります。
一方で、小さくなったスパイクを我慢して履き続けると、足指や爪、足の甲、足裏に痛みが出ることがあります。 成長期では、デザインやメーカーだけでなく、現在の足に合っているかを優先して選ぶことが大切です。
Q8. スパイクが合っていないと、どのような症状が出ますか?
A. スパイクが合っていない場合、足裏の痛み、踵の痛み、足首の違和感、膝の痛み、腰の痛みなどが出ることがあります。 また、練習後に足の一部だけが強く痛む、靴ずれが繰り返し起こる、爪が痛む、足が靴の中で動く感じがある、といった場合も注意が必要です。
特に、スパイクを変えてから痛みが出た場合、グラウンドが変わってから痛みが出た場合、練習量を増やしてから痛みが続く場合は、スパイクと足、グラウンドの相性を見直す必要があります。
Q9. 痛みがある場合は、スパイクを替えれば治りますか?
A. スパイクを見直すことで負担が軽くなる場合はありますが、痛みの原因がスパイクだけとは限りません。 足の形、足首や膝の動き、筋力、柔軟性、フォーム、練習量、グラウンドの硬さなど、複数の要因が重なって痛みが出ていることがあります。
痛みが続く場合や、同じ場所の痛みを繰り返す場合、運動を休むと軽くなるが再開すると痛む場合は、自己判断でスパイクだけを替えるのではなく、スポーツ障害に詳しい整形外科医、またはお近くのスポーツ医に相談することをおすすめします。
飛翔会の整形外科クリニック












