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No.16「心身のストレスが招くオーバートレーニング症候群」

 スポーツドクターコラム

2005/01/10

オーバートレーニング症候群



オーバートレーニング症候群は、運動による生理的な疲労が、十分に回復されないまま蓄積されていくために起こる慢性的な疲労の状態と考えられています。Jリーグの森島寛晃(C大阪)がこの症状に陥ったことで一般に知られるようになりました。アテネ五輪代表の柔道の井上康生もオーバートレーニングだったのではないか、と言われています。   

症状として、初期段階では原因不明の競技成績の低下や倦怠感などがあり、さらに進んだ状態になると睡眠障害や食欲不振、集中力の欠如といった兆候がみられます。重度になると、物事に対する意欲が急速に低下する『バーンアウト(燃え尽き症候群)』という状態に陥ります。この状態にまで至ると、競技復帰が不可能になることもありますから注意しなければいけません。  

『バーンアウト』にならないためには、症状の早期発見が必要です。トレーニングを含めた日常生活の中での体調の変化(起床時心拍数の増加や運動後の安静時血圧への回復が遅くなるなど)のチェックや、POMS検査などの心理テストが非常に有効になります。  

この症状は、真面目な選手ほどなりやすいと言われています。日常生活でも常に自分の取り組む競技のことが頭から離れず、精神的にリラックスすることができないため、ストレスを内側にため込んでしまうのです。サッカーでは日本代表に選出されると過密日程で身体的な疲労を伴う上、代表とチームでは気持ちの切り換えも必要になります。代表選手がチームに戻ってきたとき「休みが欲しい」と思うのは当たり前のことなのです。しかし十分な心身の回復がされないままプレーを続けてしまうため、オーバートレーニングに陥ってしまう選手もいます。   

オーバートレーニングは重症になればなるほど、運動を中止する期間も長くなります。ですから「ON」と「OFF」を区別できるような休養を含めたトレーニングを行うことが重要です。  

オーバートレーニングから回復するためには、精神的なリラクゼーションはもちろん、水分とエネルギーの補給が大切になります。運動した後はまず使ってしまった糖分の補給が必要になります。炭水化物を摂取することで糖分を補うことが、疲労回復につながるのです。最近はアミノ酸の清涼飲料水が人気を集めていますが、アミノ酸はタンパク質に変わるため筋肉をつけたい場合に有効なのです。疲労回復には、まず糖分を摂取することを心掛けましょう。




スポーツドクターコラムは整形外科医師 寛田クリニック院長 寛田 司スポーツ医療スポーツ障害症状治療について分りやすく解説します。

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