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スポーツドクターコラム

No.42「梨状筋症候群と診断する前に腰椎椎間板ヘルニアを疑え」

2007/02/10

梨状筋症候群

2026/02/06 Q&A追記 梨状筋症候群は、臀部にある洋梨の形をした梨状筋が、坐骨神経を圧迫している神経障害のことを言います。下肢の運動により外旋筋群が疲労し、慢性的に柔軟性を欠いていることなどが原因となって、梨状筋が坐骨神経を圧迫してしびれや鈍痛を引き起こすのです。 この障害は、一般的にスポーツ選手にみられることが多いとされています。特にランニングなどで股関節の屈伸を繰り返すスポーツでは、坐骨神経を摩擦し圧迫することが多いため、神経炎になりやすいのです。スポーツ選手は日頃から体を鍛えており、筋肉そのものが大きいことも圧迫の一因と言えるでしょう。 また、坐骨神経の形状が障害の原因となっていることもあります。坐骨神経は通常、骨盤内から後方臀部に出るとき梨状筋の下を通りますが、中には坐骨神経の一部が梨状筋の間を貫いていたり、上と下を挟んで通っている人もいます。このような場合は、筋の緊張によって神経がより圧迫されやすくなるのです。 梨状筋症候群を簡単に診断する方法として、以下のようなテストがあります。 (1)膝を伸ばしたままで足を真っ直ぐ、あるいは内側に上げたときに、痛みやしびれが出る。 (2)足を外旋させて上げたときは、梨状筋が緩んでいるため痛みなどの症状が消える。 このような症状がみられた場合には、梨状筋症候群を疑うことができます。 ただ、ここで気を付けなければならないのは、梨状筋症候群はまれな障害である、ということです。整形外科の専門医以外で梨状筋症候群と診断されても、実際は腰椎椎間板ヘルニアが痛みの原因であった例が、過去に何度もありました。坐骨神経痛の原因のほとんどがヘルニア、と言われているように、腰痛の所見がないからといって梨状筋症候群を判断することはできません。ヘルニアでも腰に痛みを感じないこともあるため、早急な診断は禁物です。先に挙げたテストも高い検査結果を得られるわけではありません。必ず整形外科の専門医を受診し、そこでMRIでヘルニアが見つからなかった場合に初めて、梨状筋症候群として治療を行いましょう。 治療方法としては、筋のストレッチと慢性炎症を抑えることが効果的です。内転筋の硬さが梨状筋に影響を及ぼしているときは、股関節周りの外旋筋の緊張をほぐすようにします。また坐骨神経の形状が痛みの要因となっている場合は、手術を行って筋肉を切断することも考えられます。 スポーツドクターコラムは整形外科医師 寛田クリニック院長 寛田 司がスポーツ医療、スポーツ障害の症状、治療について分りやすく解説します。

よくあるご質問(Q&A)

Q1. 梨状筋症候群とは、どのような病気ですか?
A. 梨状筋症候群とは、臀部の深部にある梨状筋が坐骨神経を圧迫することで、臀部や下肢に痛みやしびれを生じる神経障害です。 股関節の動きや筋肉の緊張によって症状が出るとされています。
Q2. 梨状筋症候群は、スポーツ選手に多い障害ですか?
A. ランニングなど、股関節の屈伸や回旋動作を繰り返すスポーツでは発症が報告されることがあります。 ただし、全体としては頻度の高い障害ではありません。
Q3. 痛いのはお尻の奥の筋肉で、腰はまったく痛くありません。梨状筋症候群ではありませんか?
A. 坐骨神経痛として感じる臀部の深部(インナーマッスル)を含む痛みの多くは、実際には腰椎由来であることが少なくありません。 腰椎椎間板ヘルニアなどの場合でも、必ずしも腰痛を自覚するとは限らず、「腰は痛くないが、お尻や太ももが痛い・しびれる」という形で症状が出ることもあります。 また、梨状筋症候群は頻度としてはまれな障害であり、坐骨神経痛の原因としては腰椎椎間板ヘルニアなど、腰椎由来の病変の方が圧倒的に多いとされています。 痛みの部位だけで原因を断定せず、必要に応じて整形外科専門医で評価を受けることが大切です。
Q4. 自分で梨状筋症候群かどうか判断する方法はありますか?
A. 膝を伸ばしたまま脚を上げた際に痛みやしびれが出て、外旋させると症状が軽減するなどの所見が参考になることはあります。 ただし、これらのテストは診断精度が高いわけではなく、自己判断は危険です。
Q5. なぜ梨状筋症候群と診断する前に、ヘルニアを疑う必要があるのですか?
A. 坐骨神経痛の原因の多くは腰椎椎間板ヘルニアなど腰椎由来であり、梨状筋症候群はまれな障害だからです。 腰に痛みがない場合でもヘルニアが原因であることは珍しくなく、MRIなどの画像検査で腰椎を評価することが重要です。
Q6. 梨状筋症候群と診断されるのは、どのような場合ですか?
A. MRIなどで腰椎椎間板ヘルニアなどの腰椎疾患が否定され、そのうえで症状や身体所見から梨状筋による神経圧迫が強く疑われる場合に、 初めて診断されます。
Q7. 梨状筋症候群の治療は、どのように行われますか?
A. 多くの場合は、梨状筋を含む股関節周囲筋のストレッチや、慢性炎症を抑える保存的治療が中心となります。 内転筋や外旋筋の柔軟性改善も重要です。
Q8. 手術が必要になることはありますか?
A. 坐骨神経の走行異常など解剖学的な要因が強く、保存療法で改善しない場合には、まれに手術が検討されることがあります。
Q9. 痛みが軽ければ、様子を見ても問題ありませんか?
A. 一時的に症状が軽くても、原因が腰椎疾患である場合、放置によって悪化する可能性があります。 症状が続く場合や再発を繰り返す場合は、早めの受診が勧められます。
Q10. 梨状筋症候群と自己判断して治療を続けても大丈夫ですか?
A. 自己判断は勧められません。実際には腰椎椎間板ヘルニアが原因であるケースも多く、誤った判断により適切な治療時期を逃すことがあります。 必ず専門医の診断を受けてください。

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