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No.7「サッカー選手の職業病と捻挫の密接な関係」

 スポーツドクターコラム

2004/04/20

捻挫



肉離れと共に、サッカーにおいて多く見られるケガが捻挫です。
捻挫とは、関節に外から強い力が加わって可動範囲を超えたために関節を支えている靭帯に損傷が起こるケガです。よく「足をくじいた」と言いますが、これが捻挫の典型的な例です。 
しかし捻挫には程度により、腫れるだけの軽症から、完全に靭帯が断裂するものまで様々有り、注意が必要です。 特に足首の捻挫は、スポーツ全体が起こるケガの15%を占めています。それだけによく起こる軽いケガと見られがちで、さらに歩いたり軽く走ったりするのにはさほど痛みを感じないので「捻挫なんてケガとは言わない」と逆に軽視されている現状もあります。そのためテーピングなどで処置をしただけで適切な治療を受けない選手が多く見られます。
しかし受傷後、長時間腫れや痛みなどが残ったり、癖になって何度も再発したり、または足首の軟骨が擦れてきて変形を起こしてしまうケースもありとても危険です。 

我々チームドクターは、メディカルチェックで選手の関節についていろいろ調べますが、足首の柔軟性が非常に高い選手ほど、捻挫になりやすいというデータが出ています。このような選手にはチームドクターとして正しいテーピング方法や、足首の周囲の筋肉をトレーニングで強化したり、またストレッチで筋肉の柔軟性を高めるストレッチングなどについての指導も行っています。  

 
キックにダッシュ、ジャンプ、タックルなど、サッカー選手はプレーで足首を曲げたり伸ばしたりという動作を繰り返し行います。そのためサッカー選手特有の足首の変化が起こります。これが衝撃性外骨腫、別名「フットボーラーズアンクル」(サッカー選手の足首)です。 トップレベルの選手では90%以上が持っており、いわばサッカー選手の職業病と言われる症状です。  これは足首を曲げたり伸ばしたりという動作を頻繁に繰り返す事で、頚骨(スネの骨)の下端と距骨(足首の骨)が衝突して擦れてしまい、足首の前方または後方や側方に骨のトゲ(骨棘)ができる症状です。キックやジャンプの時に痛みを生じ、さらに骨棘の部分が骨折を生じると痛みはさらにひどくなります。  
治療法や予防法としてはテーピングで足首の動きを制限する事ですが、骨棘が骨折していたり、正常な関節軟骨を損傷する場合には早期の手術が必要です。Jリーグでも手術をした選手も多く見られます。  
実は私の統計にもあるのですが、足首の捻挫をよく起こす選手ほど、かなりの割合でフットボーラーズアンクルを発症しています。またたとえサッカー選手でなくても、足首の捻挫をきちんと治療しておかないと、フットボーラーズアンクルになる可能性があるのです。




スポーツドクターコラムは整形外科医師 寛田クリニック院長 寛田 司スポーツ医療スポーツ障害症状治療について分りやすく解説します。

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