肘ではテニス肘(上腕骨外側上顆炎)や野球肘などのスポーツ障害、手指・手首では腱鞘炎、ばね指、ドケルバン病など、日常生活や仕事に伴う痛み、使いすぎによる症状に対応します。 また手指では、突き指のように一見軽度に思われる外傷でも、関節の捻挫や靱帯・腱の損傷を伴うことがあり、放置すると可動域制限や変形の原因となることがあります。 まずレントゲンで骨折や脱臼の有無を確認し、必要に応じてMRIや超音波検査で靱帯や腱、関節内の炎症の状態を詳しく評価します。 治療は安静・固定・薬物療法を基本とし、症状に応じて装具療法やリハビリテーションを組み合わせます。痛みが強い場合には注射治療を行うこともあり、家事・仕事・趣味・スポーツに支障が出ないよう、症状の改善と再発予防を目指して治療を行います。
レントゲン、MRI、エコーの役割
肘・手・指の痛みでは、レントゲン、MRI、エコーを症状に応じて使い分け、骨・関節・腱・靱帯・神経の状態を確認します。
- レントゲン
- 骨折や脱臼の有無、骨の変形(変形性関節症)を確認します。突き指だと思っていたら「剥離骨折」だった、というケースもレントゲンで確認します。
- MRI(磁気共鳴画像撮影装置)
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レントゲンには写らない靱帯損傷(野球肘の内側側副靱帯など)や、成長期の軟骨障害(離断性骨軟骨炎)の状態を確認します。 また、手根管症候群や肘部管症候群など、神経の圧迫が疑われる場合には、症状や診察所見に応じて画像検査を組み合わせ、原因部位の評価に役立てます。
MRI検査の詳細はこちらへ - 超音波検査(エコー)
- 指を曲げ伸ばししながら、腱の動きや炎症(腱鞘炎)をリアルタイムで観察します。必要に応じて、エコーガイド下の注射治療やハイドロリリースを行う際にも活用します。
肘の痛み・肘の主な疾患
スポーツ選手・成長期に多い疾患
- 野球肘(投球障害肘)
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投球動作の繰り返しにより肘に過度な負担がかかる障害です。
内側型: 靱帯(内側側副靱帯)が引き伸ばされて痛みが生じます。
外側型(離断性骨軟骨炎): 投球動作の繰り返しにより、肘の外側の軟骨やその下の骨に負担がかかる障害です。初期は痛みが少ないこともありますが、進行すると手術が必要になる場合もあるため、MRI検査などによる早期発見が重要です。
尺骨肘頭(ちゅうとう)疲労骨折: 投球のフォロースルーなどで肘の後ろ側に繰り返し負担がかかり、疲労骨折を起こすものです。 - テニス肘(上腕骨外側上顆炎)
- ラケット競技だけでなく、重いものを持ったり、長時間のデスクワーク(キーボード操作)などでも発症します。手首を反らす筋肉の付け根(肘の外側)が炎症や変成を起こし、タオルを絞る動作などで痛みが生じます。
- 肘部管症候群
- 肘の内側を通る「尺骨神経」が圧迫され、小指や薬指にしびれが出ます。野球の投手や、大工仕事などで肘を酷使する方に多く見られます。
- 円回内筋症候群
- 肘の前側で「正中神経」が筋肉(円回内筋)に圧迫される障害です。手根管症候群と似ていますが、しびれの原因が肘にあるのが特徴です。テニスのフォアハンドや、長時間のスマホ・PC操作が原因となることもあります。
日常生活・仕事で多い疾患
- 腱鞘炎(ばね指・ドケルバン病)
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指や手首の使いすぎにより、腱と腱鞘(腱のトンネル)が擦れて炎症を起こします。
ばね指: 指の付け根が腫れ、曲げ伸ばしの際に「カクン」と引っかかるようになります。
ドケルバン病: 手首の親指側が痛み、物をつかむ動作、スマホ操作、育児(抱っこ)などで悪化しやすいのが特徴です。
- 手根管症候群
- 手首にあるトンネル(手根管)の中で神経が圧迫され、親指から薬指にかけてしびれや痛みが生じます。明け方に痛みが強くなるのが特徴です。
外傷・ケガ
- 突き指(靱帯損傷・剥離骨折)
- たかが「突き指」と放置するのはリスクがあります。腱が切れて指が伸びなくなる「マレット指」や、靱帯付着部の「剥離骨折」が隠れている場合があり、初期に適切な固定を行わないと変形が残る可能性があります。
- 中手骨骨折(ボクサー骨折)
- ボクシングや空手などのパンチ動作、あるいは転倒して手を強くついた際に、手の甲の骨(中手骨)が折れることがあります。適切な整復と固定(装具やギプス)が必要です。
治療とリハビリテーション
当院では、保存療法(手術以外の治療)を中心に、症状や重症度、生活・仕事・スポーツでの必要性に応じて治療方針を検討します。 一方で、競技レベルや早期復帰の希望、損傷の程度によっては、手術が第一選択となる場合もあります。 「動かして治す」のか、「固定して休める」のか、あるいは「手術が必要」なのかを見極め、患者さまの目標を共有したうえで、医学的な判断に基づいて治療計画を立てます。
- 装具療法・固定(スプリント・ギプス)
- 骨折や腱断裂(マレット指)、重度の腱鞘炎では、患部を安静に保つための専用装具やシーネ固定を行います。適切な肢位(形)で固定することが、後遺症を防ぐ鍵となります。
- 手・指のリハビリテーション
- 硬くなった関節の可動域訓練や、筋力の回復、日常生活や仕事での手の使い方に合わせた動作練習を行います。
- フォーム指導(投球・競技動作)
- 特定部位に負担が集中しないよう、股関節や体幹を使った動きの指導と、それを可能にするための全身を評価したトレーニングの指導を行い、再発予防を図ります。











