トップページ > 下肢の治療(太もも・ふくらはぎ・すね)

足・下肢の治療について(太もも・ふくらはぎ・すね・あし)

下肢(太ももから足首の上まで)は、歩行や走行の着地時に大きな衝撃を受け止める部位です。 そのため、スポーツによる「肉離れ」や「シンスプリント」だけでなく、日常生活での「こむら返り(足のつり)」や、加齢に伴うアキレス腱の痛みなど、幅広い年代でトラブルが発生します。 当院では、レントゲンだけでなくMRIや超音波検査(エコー)を用いることで、骨だけでなく「筋肉・腱・筋膜」の状態を詳細に評価します。 単に痛みを抑えるだけでなく、医学的な観点からの「食事・栄養指導」や「ストレッチ指導」を行い、再発しにくい体づくりを目指して治療を行います。

レントゲン、MRI、エコーの役割

「歩けるから大丈夫」と自己判断して無理をすると、痛みが長引く原因になります。筋肉の断裂や骨膜の炎症は、外見からは判断できないことが多くあります。

レントゲン
骨折の有無や骨の形状を確認する基本の検査です。肉離れのような強い痛みがある場合、筋肉が骨を引っ張って起こる「剥離骨折」や、打撲後に筋肉の中に骨ができてしまう「骨化性筋炎」の有無を鑑別するために重要です。
MRI(磁気共鳴画像撮影装置)
肉離れの損傷の深さや出血量を判定し、適切な治療期間を予測するために役立ちます。また、レントゲンには写らない初期の疲労骨折や、筋肉内圧の上昇(コンパートメント症候群)の診断にも有効です。
MRI検査の詳細はこちらへ
栄養指導・コンディショニング
頻繁な「こむら返り(足がつる)」や肉離れは、筋力不足だけでなく「水分・ミネラル不足」「食生活の乱れ」が原因であることがあります。当院では、医学的な観点から、食事や水分補給のアドバイスも行います。
超音波検査(エコー)
筋肉の繊維や筋膜の動きをリアルタイムで観察します。肉離れの治癒過程(しっかりくっついているか)の確認や、筋肉同士の癒着を剥がすハイドロリリース注射のガイドとして使用します。

下肢の主な疾患

筋肉・腱の急な痛み

肉離れ(ハムストリング・ふくらはぎ)
急なダッシュやジャンプ、あるいは踏ん張った瞬間に、筋肉の繊維が部分的に断裂する怪我です。 初期に適切な圧迫・固定(RICE処置)を行うことが大切です。MRIでの評価に基づき、再発を防ぎながら段階的にリハビリを行います。
アキレス腱断裂・周囲炎
ふくらはぎと踵をつなぐアキレス腱が断裂、または炎症を起こす状態です。スポーツ中だけでなく、日常生活の段差などで受傷することもあります。 断裂している場合は、患者様の年齢や活動レベルに応じ、保存療法(ギプス固定)を行うか、手術が必要な場合は連携病院へ紹介するかを慎重に判断します。

繰り返す痛み・違和感

シンスプリント(脛骨過労性骨膜炎)
ランニングや歩行の繰り返しにより、すねの内側(脛骨)の膜が引っ張られて炎症を起こします。 硬い地面での運動や、偏平足(アーチの低下)が原因となることが多く、運動量の調整とインソール等による対策が有効です。
下腿コンパートメント症候群
運動中にふくらはぎの筋肉がパンパンに張り、痛みやしびれが出ます。筋肉を包む膜(筋膜)の内圧が上がり神経を圧迫する障害です。

捻挫とその後遺症・成長痛

足関節捻挫・靱帯損傷
スポーツや日常で最も多い怪我の一つです。多くは外くるぶしの靭帯(前距腓靭帯など)を損傷します。「たかが捻挫」と放置すると、関節が緩いままとなり、軟骨を傷める(変形性足関節症)原因となります。
リスフラン関節損傷
足の甲にある関節(リスフラン関節)の捻挫や骨折です。つま先立ちで強く踏ん張ったり、転倒して足を捻った際に受傷します。 「ただの捻挫」と見過ごされやすい怪我ですが、重症化すると足のアーチが崩れて歩行に支障が出るため、初期の適切な診断と固定が重要です。
足関節骨軟骨損傷(離断性骨軟骨炎)
度重なる捻挫や、激しいスポーツ動作により、関節内の軟骨が剥がれたり傷ついたりする障害です。捻挫が治ったはずなのに痛みが続く場合、この損傷が隠れていることがあります。MRI検査での早期発見が重要です。
フットボーラーズアンクル(衝突性骨棘)
サッカー選手などに多く、キックやジャンプの繰り返しで足首の骨同士が衝突し、骨のトゲ(骨棘)ができる障害です。足首を反らすと痛みが出たり、可動域が制限されたりします。
シーバー病(踵骨骨端症)
10歳前後の成長期に多く、運動後に「かかと」が痛みます。成長軟骨への負担が原因ですが、靴の選び方やインソール、アキレス腱のストレッチで改善を図ります。

日常生活・靴に関連する疾患

足底腱膜炎(そくていけんまくえん)
起床時の第一歩目や、歩き始めにかかとや足の裏が痛むのが特徴です。偏平足やハイアーチなど、足のアーチ構造の崩れにより、足の裏の膜(腱膜)に過度な負担がかかることで発症します。
外反母趾・偏平足
足の親指が変形したり、土踏まずが低くなることで痛みが出ます。変形そのものを治すには手術が必要ですが、痛みや進行を抑えるためにインソール療法や運動療法(タオルギャザー等)を行います。
巻き爪(陥入爪)
深爪やサイズの合わない靴、偏平足などが原因で、爪が皮膚に食い込みます。化膿して痛む場合は、適切な処置やワイヤー矯正(自費診療)、靴の指導を行います。

治療とリハビリテーション

当院では保存療法を中心に行いますが、手術が必要な重度の靭帯断裂や骨軟骨損傷、変形については、専門の医療機関と連携して対応します。

医療用インソール(足底板)療法
足のトラブルの多くは「アーチの崩れ」や「荷重バランスの乱れ」が関係しています。 当院では、医師の処方に基づき、患者様の足の形や歩き方に合わせた医療用インソール(中敷き)を作成します。 靴の中から骨格のバランスを整え、痛みの軽減と再発予防を図ります。 ※治療用装具として保険適用が可能です。
リハビリテーション
足部・足指の機能改善: タオルギャザー(足指でタオルを手繰り寄せる運動)などで足裏の筋力を鍛え、アーチを支える力を養います。
バランストレーニング: 捻挫後の不安定感を解消し、再受傷を防ぐためのバランス感覚を養います。
ストレッチ: アキレス腱やふくらはぎの柔軟性を高め、かかとや足底への負担を減らします。
エコーガイド下ハイドロリリース
足底腱膜炎などに対し、癒着している筋膜(ファシア)にエコーを見ながら薬液をリリース(注入)し、痛みの緩和と動きの改善を図ります。

よくあるご質問

Q. 捻挫をして腫れていますが、歩けるので様子を見てもいいですか?

A. 早めの受診をお勧めします。 歩けるからといって軽傷とは限りません。靭帯が断裂していたり、骨の一部が剥がれている(剥離骨折)、あるいは軟骨を損傷している場合があります。初期に適切な固定を行わないと、後遺症が残るリスクがあります。

Q. 朝起きると、足の裏やかかとが痛みます。

A. 足底腱膜炎の可能性があります。 寝ている間に硬くなった足の裏の膜が、起床時の最初の一歩で急に引き伸ばされるため痛みが出ます。インソール作成やストレッチ、注射治療などで改善が期待できますのでご相談ください。

Q. インソール(中敷き)は保険が効きますか?

A. 治療用として処方される場合は保険適用となります。 外反母趾や偏平足、足底腱膜炎などの治療のために、医師が必要と判断して作成する「治療用装具」は、健康保険の適用対象となります。 (※一旦全額をお支払いいただき、後日申請により還付されます)

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