スポーツ中の接触や転倒、交通事故、日常生活での転落などによる「ケガ」全般に対応します。 外傷治療において最も重要なのは、「初期診断の正確さ」と「適切な固定・リハビリ開始のタイミング」です。 「突き指だと思っていたら骨折だった」「ただの背中の打撲だと思っていたら骨の一部が折れていた(棘突起骨折)」というケースは少なくありません。 当院では、スポーツ現場で培った診断力を活かし、早期の社会復帰・競技復帰をサポートします。
画像診断と機能評価
見た目の腫れや痛みの程度だけでは、損傷の深さは判断できません。当院では複数の検査機器を駆使して状態を評価します。
診断に用いる主な検査機器
- レントゲン(X線検査)
- 骨折や脱臼の有無を確認する、外傷診療の基本となる検査です。骨の並びや形状(アライメント)の異常を評価します。
- MRI(磁気共鳴画像撮影装置)
- レントゲンでは写らない**「不顕性骨折(隠れた骨折)」**や「骨挫傷(骨の内部の出血)」、背骨の細かい骨折(棘突起骨折など)、靭帯・半月板の断裂などを鮮明に描出します。 受傷直後の痛みが強い場合、MRI検査を行うことで早期に確定診断がつきます。
MRI検査の詳細はこちらへ - 超音波検査(エコー)
- 靭帯の断裂や筋肉の肉離れ、皮下出血の広がりをリアルタイムで観察します。レントゲンには写らない軟部組織(骨以外の組織)の損傷評価に優れています。
主な外傷の種類と治療方針
骨折・脱臼
- 一般的な骨折・脱臼
- 骨が折れたり(ヒビを含む)、関節が外れた状態です。 ズレ(転位)が少ない場合は、ギプスやシーネ(添え木)による固定で自然治癒を促す「保存療法」を行います。 ズレが大きい場合や関節内の複雑な骨折の場合は、連携する高度医療機関での手術を紹介します。
- 棘突起骨折(きょくとっきこっせつ)
- 背骨の後ろにある突起(背中を触ってゴツゴツしている部分)の骨折です。ラグビー等のコンタクトスポーツや転倒、あるいはスイング動作での強い筋収縮で起こります。 首の付け根(第7頚椎・第1胸椎)に多く、MRIで脊髄損傷がないことを確認した上で、コルセット等による保存療法で治癒を目指します。
- 疲労骨折
- 一度の衝撃ではなく、スポーツなどで繰り返し負荷がかかることで骨にヒビが入る障害です。 足の甲(中足骨)やスネ(脛骨)に多く見られます。レントゲンでは発見しにくいため、MRIによる早期診断が重要です。
- 剥離骨折(はくりこっせつ)
- 靭帯や腱が骨に付着している部分で、強い力で引っ張られて骨の一部が剥がれる骨折です。突き指や捻挫に伴って発生することが多く、見逃されやすい骨折の一つです。
軟部組織損傷(捻挫・打撲・肉離れ)
- 捻挫(靭帯損傷)
- 関節に無理な力がかかり、靭帯が伸びたり切れたりする怪我です。「たかが捻挫」と放置して固定を怠ると、関節が緩いままとなり、将来的な痛みの原因となります。
- 打撲・挫傷
- 強い衝撃を受け、皮下組織や筋肉が損傷する怪我です。重度の打撲(コンパートメント症候群など)は、専門的な処置が遅れると重篤な障害を残すことがあるため、軽視できません。
治療の流れとリハビリテーション
受傷直後から復帰までトータルサポート
当院では、ケガをした直後の「診断・処置」から、痛みが引いた後の「リハビリテーション」、そしてスポーツや日常生活への「完全復帰」まで、医師と理学療法士が連携して一貫したサポートを行います。 初期段階ではMRIやエコーを用いた正確な診断に基づき、ギプス固定やシーネ(添え木)など、損傷部位の修復を最優先にした処置を行います。その後、骨や組織の回復に合わせて、固定によって硬くなった関節の可動域訓練や、 低下した筋力を戻すための専門的なリハビリテーションへと移行します。 また、近隣の基幹病院で手術を受けた後の「抜糸」や「術後リハビリ」の受け入れも積極的に行っており、 退院後の不安な時期も、通いやすい環境で安心して回復に専念していただけます。
- 初期処置(RICE処置・固定)
- 受傷直後は、腫れや炎症を抑えるための処置を行います。必要に応じてギプス、シーネ、松葉杖、サポーターなどを使用し、患部の安静を保ちます。
- 物理療法・運動療法
- 痛みが落ち着いてきた段階で、超音波治療器(骨折の治癒を早めるLIPUSなど)や温熱療法を行います。また、固定によって硬くなった関節や衰えた筋力を回復させるため、理学療法士によるリハビリテーションを開始します。 リハビリテーションの詳細はこちらへ
- 術後リハビリテーションの受け入れ
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骨折などで総合病院にて手術を受けた後、退院後の抜糸やリハビリテーションを当院で引き継ぐことが可能です(地域連携)。通院しやすい環境で、じっくりと機能回復に取り組んでいただけます。
手術を受けた医療機関からの「紹介状(診療情報提供書)」を必ずご持参ください。 なお、紹介状をお持ちの場合でも、リハビリテーションの開始にあたっては当院医師による診察が必要となります。











