股関節の痛みは、中高年の「変形性股関節症」だけでなく、サッカーやランニングなどを楽しむ10代〜30代のスポーツ愛好家にも多く見られます。
当初は軽い違和感であっても、痛みを我慢したり、適切な診断を受けずに放置していると、関節の中で軟骨や関節唇(かんせつしん)といった重要な組織の損傷が進行してしまう場合があります。
寛田クリニックでは、レントゲンによる骨の評価に加え、MRIを用いて軟骨や靭帯の状態を詳細に診断します。
医学的な所見に基づき、手術が必要なのか、保存療法でコントロール可能かを見極め、患者様の生活スタイルや競技目標に合わせた方針で治療をすすめます。
股関節治療でのレントゲン、MRI、エコーの役割
股関節の痛みには、骨の形(臼蓋形成不全など)が関与している場合と、動きの中で骨同士がぶつかる(インピンジメント)場合があります。 当院では、静止画での評価(レントゲン・MRI)に加え、動きの中での評価(エコー)を組み合わせることで、痛みの原因を診断します。
- レントゲン
- 骨の形や関節の隙間の広さを確認します。日本人に多い「臼蓋形成不全(被りが浅い状態)」や、進行した変形性股関節症の診断に不可欠です。
- MRI(磁気共鳴画像撮影装置)
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レントゲンには写らない「関節唇(パッキンの役割をする軟骨)」の損傷や、骨の中の浮腫(炎症)、筋肉の付着部の炎症などを鮮明に描出します。 特に「FAI(インピンジメント)」や「股関節唇損傷」の確定診断にはMRIが極めて重要です。
MRI検査の詳細はこちらへ - 超音波検査(エコー)
- レントゲンやMRIは「静止画」ですが、エコーは「実際に股関節を動かしながら」腱や筋肉の動きを観察できるのが最大の特徴です。 「動かすと痛い・音が鳴る(弾発股)」といった症状の原因特定や、関節外の滑液包炎(水が溜まっているか)の診断に役立ちます。
股関節の主な疾患
成長期・スポーツ選手に多い疾患
- 股関節インピンジメント(FAI)
- 大腿骨と骨盤の骨が、動きの中で衝突(インピンジメント)してしまう構造的な問題です。深くしゃがんだり、足を捻ったりした際に鼠径部(足の付け根)に鋭い痛みが生じます。放置すると軟骨損傷の原因となります。
- 股関節唇(しん)損傷
- 骨盤の縁にある柔らかい軟骨(関節唇)が亀裂を起こしたり剥がれたりする怪我です。FAIや激しいスポーツ動作が原因となり、股関節を動かした際の引っ掛かり感や痛みが生じます。
- グロインペイン症候群
- サッカー選手に多く見られる、キック動作やダッシュによる鼠径部周辺の痛みです。股関節だけでなく、体幹や骨盤の機能不全が複雑に絡み合って発生します。
中高年・女性に多い疾患
- 変形性股関節症
- 加齢や、元々の骨の形(臼蓋形成不全)が原因で、軟骨がすり減り、骨が変形して痛みが出る進行性の疾患です。初期は立ち上がり動作などで痛み、進行すると歩行時や夜間にも痛むようになります。
- 大転子滑液包炎
- 股関節の横(外側)にある出っ張った骨の周囲で炎症が起きる疾患です。歩くときや、患部を下にして寝たときに痛みが生じます。
リハビリテーション
股関節にかかる負担を減らすためには、体重のコントロールに加え、骨盤を安定させる筋力(中殿筋など)の強化が不可欠です。 当院では、単なる筋トレではなく、股関節に負担のかかりにくい「歩き方」や「身体の使い方」を習得するリハビリテーションを提供します。
- パワープレート(Power Plate)
- 股関節に痛みがある方でも、振動刺激を利用することで、関節に過度な負担をかけずに深層筋(インナーマッスル)を強化できます。バランス能力を向上させ、転倒予防にも効果的です。
- 理学療法
- 理学療法士がマンツーマンで、硬くなった関節包や筋肉(腸腰筋など)のストレッチを行い、可動域を広げます。また、弱っているお尻の筋肉(中殿筋など)を効果的に鍛えるトレーニングを指導します。











